みゆき (漫画)

『みゆき』

概要

『みゆき』は、日本の漫画家あだち充による名作で、1980年から1984年にかけて『少年ビッグコミック』（小学館）で連載されました。あだち充の代表的な作品の一つとされ、青春ラブコメディの中でも特に恋愛に焦点を当てた作品です。物語の中心には、主人公の若松真人と2人のヒロイン、若松みゆきと鹿島みゆきとの複雑な三角関係が描かれています。興味深い点は、連載期間中のリアルタイムで物語が進行し、キャラクターたちも現実の時間と同様に成長するというシンクロシティです。

受賞歴およびメディア展開

1984年には第28回小学館漫画賞を受賞し、その人気からテレビアニメ、実写映画、そしてドラマ化もされています。アニメは1983年から1984年にかけてフジテレビ系列で放映され、全37話が制作されました。映画版は同じく1983年に公開され、1986年にはドラマ版も放送されました。これらのメディア展開も、この作品の影響力を示すものと言えるでしょう。

作品の背景

この作品に登場する2人の「みゆき」という名前は、あだち充の担当編集者のアイデアによります。モデルとなったのは歌手の中島みゆきで、まったく異なる性格を持ったキャラクターが同じ名前を持つという設定がユニークです。あだち充は、「ただ可愛い妹を描きたかった」と語っており、物語は運命の悪戯のように進んでいきます。

登場人物

若松真人

物語の主人公で、青華高校に通う普通の高校生。母親を2度失い、性格は優柔不断ながらも友情や愛情にあふれたキャラクターです。妹との関係に戸惑いながらも、彼女に強く惹かれていきます。

若松みゆき

真人の血の繋がらない妹。運動神経が良く、成績も優秀。彼女は無邪気で好奇心旺盛な性格を持ち、物語には恋愛を巡る複雑な心理描写が展開されます。彼女の気持ちは、その成長とともに見えてきます。

鹿島みゆき

真人の同級生であり恋人候補として描かれるキャラクター。清楚でおしとやかな印象を持ち、真人に対して一途です。物語の中で彼女も成長し、友情と恋愛の狭間で葛藤します。

あらすじ

高校1年生の夏、若松真人は友達と一緒に民宿でのアルバイトを始めます。その民宿で、彼は同級生の鹿島みゆきと偶然出会います。みゆきが自分に好意を抱いていることを知り、彼は恋に落ちます。しかし、すぐにフラれる出来事があり、落胆する真人の友人たちは、海で見かけた美少女を誘うことを提案します。その美少女は、実は6年ぶりに日本に帰国した妹の若松みゆきだったのです。

家では妹との新しい生活が始まり、真人は妹であるみゆきに惹かれつつ、恋人の鹿島みゆきとの関係も進めようとします。日々、二人のみゆきとの関係に揺れ動きながらも、真人は高校の生活を送ります。やがて、大学受験を経て再び親友や恋人との関係が交錯し、複雑な人間ドラマが展開されていきます。

結末

物語の最後では、幼馴染でありサッカー選手の沢田夢一が若松みゆきにプロポーズしますが、真人はみゆきへの想いを告白し、彼女はその気持ちを受け入れます。3人でのフィリピンでの結婚式が行われ、長い間秘めていた愛が実を結ぶ一方、鹿島みゆきの新たな恋の予兆も描かれ、物語は幕を下ろします。これらのエピソードは、青春のドキドキ感や友情の大切さを感じさせるものとなっており、多くの読者に感動を与えました。

書誌情報

『みゆき』は全12巻で構成されており、多くのワイド版や文庫版も発行されています。持ち続ける人気から、現在も多くの作品が展開され続けており、今後もその影響力は衰えないでしょう。

もう一度検索