めだSCORE

めだSCORE

『めだSCORE』（めだスコア）は、人気漫画家の津山ちなみ氏と森ゆきえ氏が共に手がけた、ユニークな形式の4コマ漫画作品です。

作品名の由来とクロスオーバー

この作品のタイトルは、森ゆきえ氏の代表作である『めだかの学校』と、津山ちなみ氏のヒット作『HIGH SCORE』という、お互いの代表的な作品名を組み合わせた造語です。そのタイトルが示す通り、『めだSCORE』の最大の特徴は、『めだかの学校』と『HIGH SCORE』、それぞれの作品世界から飛び出した個性豊かなキャラクターたちが一堂に会し、作中で様々な交流を繰り広げる点にあります。異なる作品の枠を超え、登場人物たちが時に衝突し、時に共鳴しながら展開する物語は、両作品のファンにとって非常に魅力的な試みとなりました。

特徴的な制作スタイル

本作の制作方法は、極めて珍しいものでした。津山氏と森氏は、直接対面することなく、原稿を郵送などで相互に送り合いながら作品を完成させていったのです。驚くべきことに、両作者は3回目の『めだSCORE』が完成するまで一度も顔を合わせたことがなく、この合作を終えた後に初めて対面を果たしたというエピソードが伝えられています。このような物理的な距離がありながらも、互いのアイデアや筆致を受け止め、一つの作品として昇華させていくスタイルは、合作ならではの面白さと言えるでしょう。合作ゆえに、同じキャラクターでも描く作者によって微妙に絵柄が異なる場合がある点も、本作ならではの視覚的なアクセントとなっています。

キャラクターの掛け合いとアイデアの競演

作品の大きな見どころは、やはり各キャラクターたちの関係性から生まれるユーモラスな掛け合いです。『HIGH SCORE』の主要キャラクターである藤原めぐみと、『めだかの学校』の中心人物である田中先生のやり取りは、作者の一人である森ゆきえ氏が「田中先生とめぐみの対決」と表現し、本作の「名物」だと述べるほど、読者に強い印象を残しました。ドライで現実的な視点を持つめぐみが、予測不能で型破りな田中先生の言動に振り回される様子は、物語の核の一つとなっています。

キャラクターの共演にとどまらず、物語を彩るアイデアやギャグも、両作者の間で積極的に交換され、共同で生み出されました。例えば、あるエピソードで描かれた、田中先生がスキー場でボディーボードを四肢に装着して滑るという奇想天外なアイデアは、津山氏が森氏に提案したものが基になっています。これに対し、森氏がさらに発展させ、一層シュールな「完全体」として作品に登場させるなど、アイデアのキャッチボールが作品の随所に生きています。

物語の導入

物語は、『めだかの学校』でおなじみの田中先生が、かつての同級生であった多摩先生と偶然再会するところから始まります。この再会をきっかけに、二人は協力して様々なイベントを企画・実行するようになります。田中先生も多摩先生も、良く言えば個性的、悪く言えば常識離れした人物であり、この二人が交わることで、周囲を巻き込んだ奇妙で予想外の騒動が次々と巻き起こります。こうした異常事態に対し、『めだかの学校』に登場する比較的常識的な感性の持ち主、江野めだかなどがツッコミ役に回り、文字通り神経をすり減らしながら対応する姿が描かれます。また、前述の藤原めぐみのように、田中先生を苦手とするキャラクターも多く、その関係性が物語に別の軸を提供しています。多くの登場人物から避けられつつも、どこか憎めない田中先生を中心に、おかしな出来事が繰り広げられます。

掲載履歴

『めだSCORE』は、主に集英社発行の『りぼん』増刊号に不定期に掲載されました。主な掲載号は以下の通りです。

『りぼん』1999年夏休みおたのしみ増刊号
『りぼん』2000年夏休みおたのしみ増刊号
『りぼん』2000年冬休みおたのしみ増刊号
『りぼん』2001年冬休みおたのしみ増刊号

後に単行本として、『めだかの学校』第2巻から第4巻にかけてまとめて収録され、読むことができます。

関連企画

本作が生まれるに先立ち、両作品のキャラクターが登場するコラボレーション企画が存在しました。1998年6月発売の『りぼんオリジナル』誌上にて、『HIGH SCORE V.S. めだかの学校 4コマギャグ合戦!!』と題された読み切り形式の作品が掲載されており、『めだSCORE』はこの企画を発展させたものと言えるでしょう。

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