もしも君に恋したら。

『もしも君に恋したら。』：恋と友情の狭間で揺れる、等身大のロマンティックコメディ

『もしも君に恋したら。』（原題: The F Word）は、2013年に公開されたアイルランド・イギリス合作のロマンティックコメディ映画です。マイケル・ドースが監督を務め、ダニエル・ラドクリフとゾーイ・カザンが主演を務めています。TJ・ドーとマイケル・リナルディの戯曲『Toothpaste and Cigars』を原作としており、日本では劇場公開こそされなかったものの、Amazonプライム・ビデオで配信されています。

あらすじ

物語は、カナダのトロントを舞台に展開されます。主人公のウォレスは、恋人に裏切られたショックから医学部を中退し、引きこもり生活を送っていました。そんな彼を心配した親友のアランは、ウォレスを無理やりパーティーに連れ出します。そこでウォレスは、アランの従姉であるシャントリーと出会います。アランが別の女性と良い雰囲気になっている一方、ウォレスはシャントリーに惹かれながらも、彼女に恋人がいることを知ります。

シャントリーを自宅まで送る途中、彼女から恋人がいることを告げられたウォレスは、連絡先を交換したものの、自ら連絡することを躊躇します。しかし、映画館で偶然シャントリーと再会したことをきっかけに、二人は食事をするようになり、徐々に親しくなっていきます。

ある日、シャントリーはウォレスを自宅に招き、恋人のベンを紹介します。ベンは医者として働いていましたが、国連職員に転職し、半年間ダブリンに赴任することになります。その間、ウォレスとシャントリーの関係は深まり、互いに恋心を抱いていることを自覚します。

親友アランの結婚式が近づくにつれ、ウォレスとシャントリーの関係はさらに複雑化していきます。シャントリーの妹がウォレスを誘惑するも、彼はシャントリーとの関係を壊すことを恐れて拒絶します。その後、4人で海辺へ出かけた際、ウォレスとシャントリーは二人きりで過ごす時間の中で、互いの気持ちを確かめ合うチャンスを迎えますが、理性的に振る舞い、一線を越えることはありません。

しかし、ベンの帰国が近づき、ウォレスとシャントリーの関係はついに明るみに出てしまいます。二人の関係は一体どうなってしまうのでしょうか。

キャスト

ウォレス：ダニエル・ラドクリフ
シャントリー：ゾーイ・カザン
アラン：アダム・ドライバー
ダリア：ミーガン・パーク
ニコル：マッケンジー・デイヴィス
ベン：レイフ・スポール

製作の背景

本作の脚本は、2008年のブラックリストに掲載されたエラン・マスタイによって執筆されました。当初はケイシー・アフレックが出演交渉を行っていましたが、実現には至りませんでした。2012年7月、ダニエル・ラドクリフとゾーイ・カザンの出演が決定し、ラドクリフは現代を舞台にした作品への出演を希望していたことから、本作への出演を喜びました。その後、アダム・ドライバー、ミーガン・パーク、マッケンジー・デイヴィス、レイフ・スポールらがキャストに加わりました。

撮影はトロントとダブリンで行われ、音楽は2014年8月にサウンドトラックとして発売されました。

公開と評価

本作は、2013年のトロント国際映画祭でプレミア上映され、その後、CBSフィルムズが全米配給権を獲得しました。アメリカでは、原題の「The F Word」が放送禁止用語を連想させるとして、『What If』というタイトルに変更されて公開されました。

批評家からは概ね好意的な評価を受けており、Rotten Tomatoesでは73%の支持率を獲得しています。特に、ダニエル・ラドクリフとゾーイ・カザンのケミストリーが高く評価されています。しかし、トロントの人種的多様性を反映していないキャスティングについては、批判の声も上がりました。

本作は、第2回カナダ・スクリーン・アワードで脚色賞を受賞しています。

『もしも君に恋したら。』は、恋愛における友情の重要性や、複雑な感情を描いた作品として、多くの観客に共感を呼んでいます。ぜひ一度、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

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