もっともらしい否認

もっともらしい否認とは

もっともらしい否認とは、ある出来事に対して関与を疑われている人物が、明白な証拠がないことを利用して関与を否定する概念です。例えば、政治家が自身の周辺で起きた不祥事について「秘書がやったことで、自分は関与していない」と主張するケースが挙げられます。

実際の影響

もっともらしい否認は、必ずしも受け入れられるとは限りません。刑事訴追を逃れたとしても、状況証拠が強く、否認に説得力がない場合、国民は疑いの目を向けます。その結果、世論の批判を受けて引責辞任に至ることも少なくありません。

米国における「もっともらしい否認」

米国では、もっともらしい否認は法的な概念としても扱われます。訴えの内容を証明する証拠が不足している場合、たとえ訴えが事実であったとしても、被告はそれを否認できます。ただし、証明の基準は民事事件と刑事事件で異なり、民事事件では「証拠の優越」、刑事事件では「合理的な疑いの排除」が求められます。

歴史的背景

「もっともらしい否認」という言葉は、1960年代初頭にCIAが、違法行為や不人気な活動が明るみに出た際に高官が責任を回避するために情報を隠蔽する行為を指す言葉として作られました。この概念の起源は、1948年のトルーマン大統領の国家安全保障会議(NSC)政策文書に遡ります。この文書では、「隠密作戦」を米国の関与が明らかにならないように計画・実行され、疑われたとしても米国政府が否認できるものと定義しています。

アイゼンハワー政権下では、NSC 10/2がより具体的なNSC 5412/2「隠密作戦」に組み込まれました。NSC 5412は1977年に機密解除され、現在は米国国立公文書館に保管されています。

ウォーターゲート事件

ウォーターゲート事件では、ニクソン大統領とその補佐官が、民主党本部への盗聴器設置というスキャンダルに対する関与を「もっともらしく否認」しようと試みました。しかし、その試みは失敗に終わり、ニクソン大統領は最終的に辞任へと追い込まれました。

その他の例

もっともらしい否認は、特定の事実を知ることで不利益を被る可能性がある場合に、あえてその事実を知らないようにする行為も含まれます。例えば、弁護士が自身の弁護を不利にする事実が存在するかもしれないと考え、倫理規定によってその事実を相手側に開示しなければならなくなるのを避けるために、知らないふりをすることがあります。

参考文献

Sections of the Church Committee about plausible denial on wikisource.org
Church Committee reports (Assassination Archives and Research Center)
Church Report: Covert Action in Chile 1963-1973 (U.S. Dept. of State)
Original 255 pages of Church Committee "Findings and Conclusions" in pdf file

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