やきそば弁当

やきそば弁当（やきそばべんとう）

やきそば弁当は、マルちゃんブランドを展開する東洋水産が、主に日本の北海道地域で販売している即席カップ焼きそばです。地元では親しみを込めて「やき弁」とも呼ばれ、その名称は東洋水産の登録商標となっています。1975年（昭和50年）に誕生し、2025年には発売50周年を迎える歴史ある製品です。

概要

発売当初、やきそば弁当は全国で販売されていましたが、特に北海道での消費者の支持が厚く、やがて同地域を代表するカップ焼きそばブランドとして確固たる地位を築きました。東洋水産は、水産加工業をルーツに持ち、北海道全域に強力な流通網を構築していたことが、他の食品メーカーに先行して市場シェアを獲得できた大きな要因とされています。広大な北海道において販売網を確立することが困難だった他社が苦戦する中、既に強固な基盤を持っていた東洋水産は優位性を保ちました。その結果、現在では地域限定販売となっています。かつては、やきそば弁当が主力であるため、全国展開されている「昔ながらのソース焼そば」が北海道で販売されない時期もありましたが、2007年（平成19年）2月以降は東北や信越地方と共に販売が再開されています。

地域限定品ではありますが、北海道内の主要な空港やJRの駅売店などでは、北海道土産の定番品の一つとして、リボンナポリンやサッポロクラシックといった地域限定飲料などと並んで販売されています。また、北海道外でも、一部のコンビニエンスストアやスーパーマーケット、各地に設置された北海道のアンテナショップ、あるいは不定期で開催される「北海道フェア」などの催事において常時または期間限定で取り扱われることがあります。さらに、2016年3月には北海道新幹線開業に関連して、青森県内の一部店舗で販売された例もあります。

製品名の由来については、発売当初のプラスチック製容器が、麺を戻したお湯でスープを作るための下の容器と、麺と湯切り用の上の容器という二重構造になっており、その厚みと形状が「弁当箱に似ている」と説明されています。なお、東洋水産には、このやきそば弁当と同様に特定の地域に限定して販売されている製品として、「ダブルラーメン」や「激めん」などがあります。

容器の形状は時代と共に変化しており、当初のプラスチック製二重構造から、近年では一般的なカップ麺と同様の紙製容器に切り替わっています。湯切りは、紙製の蓋に設けられた穴を通して行う方式が主流です。

品質管理面では、2010年（平成22年）2月に出荷された分から、やきそば弁当シリーズの全製品がJASマークの認定を受けるようになりました。それ以前は、レギュラーサイズの「やきそば弁当」と「大判やきそば弁当」のみが認定対象でした。また、2023年（令和5年）7月以降、レギュラーサイズのオリジナルソース味のみ、パッケージのシュリンクフィルム表面下部に「焼そばはマルちゃん」というメッセージタグが順次記載されるようになっています。

特徴

やきそば弁当の最大の特徴は、一般的なカップ焼きそばとは異なる独自の調理方法と、それに伴う中華スープの添付です。通常、カップ焼きそばは麺を戻したお湯を捨ててソースと混ぜますが、やきそば弁当では、この麺の戻し湯を捨てずに別の器に注ぎ、添付の粉末スープを溶かすことで、中華風の美味しいスープが出来上がります。これにより、焼きそばとスープを同時に楽しむことができる「一食完結型」のスタイルを提供しています。製品には、野菜と肉が入ったかやく袋、青海苔と紅生姜の粉末、そしてスープ用の粉末がセットで付属しています。

2010年2月以降には、通常の調理方法とは異なる「あんかけ風」と称するシリーズも登場しました。これらの製品は、パッケージに「お湯2回仕上げ」と記載されており、一度目の湯で麺を戻して湯切りした後、再び熱湯を加えて別添の「あんの素」を混ぜるという調理工程を要します。このあんかけ風シリーズには、中華スープは付属しません。

ラインアップ

やきそば弁当シリーズには、オリジナルソース味以外にも様々なバリエーションが存在します。麺の量は90グラム（調理前）の商品が多いですが、大盛などの例外もあります。多くのシリーズ製品には中華スープが付属しますが、味のバリエーションによってはコンソメスープが付属するなど、例外も見られます。過去には、塩味の「やきそば塩弁当」、醤油味の「やきそば醤油弁当」、鰹節風味の「やきそば弁当おかか風味」、ニンニクと唐辛子が特徴の「やきそば弁当ガーリック醤油」、辛口の「濃いやきそば弁当」などが販売されていました。また、麺がうどんになった「焼きうどん弁当」や、受験生向けにしょうが焼き味で中華風しょうがスープが付いた「がんばれ！受験生 やきそば勉当で必勝祈願！」（これは全国販売でした）、さらには「炒飯の素 ソース味 やきそば弁当風味」といった関連商品も登場しています。

CM

やきそば弁当のテレビCMには、これまで多くの有名人が起用されてきました。初期にはブラザートム、明石家さんま、今田耕司、柳沢慎吾などが出演し、2000年代には山田孝之、波田陽区、石原良純などが登場しました。2007年以降は、北海道出身のお笑いコンビ、タカアンドトシが長期にわたりCMキャラクターを務めています。

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