やまかんヒット大賞

『やまかんヒット大賞』（やまかんヒットたいしょう）は、1970年に読売テレビが製作し、日本テレビ系列の各局で放送された、歌謡番組とクイズ番組の要素を兼ね備えたテレビ番組です。

この番組は、1970年7月7日から同年11月10日まで、毎週火曜日の19時30分から20時00分までの時間帯に放送されていました。わずか約4ヶ月という比較的短い期間での放送となりました。

番組の大きな特徴は、視聴者参加型の公開番組形式を採用していた点にあります。毎週、会場に観客を迎えて収録が行われ、一般視聴者も番組に参加する機会が提供されていました。具体的には、毎回5組のペアが出場していましたが、これはプロの歌手とその熱心なファンが組んだペアでした。

番組内で設定された目標は、「ヒット大賞」を獲得することです。この栄誉ある「ヒット大賞」を獲得するための条件は、出場した1人の歌手が番組内で合計4回の歌唱機会を得ることにありました。クイズや歌唱の具体的なルールや進行形式については詳細な情報は少ないですが、「クイズ番組を兼ねた歌謡番組」という性質から、単に歌を披露するだけでなく、何らかの知的な要素やゲーム性が組み込まれていたと考えられます。

見事「ヒット大賞」を獲得したペアには、豪華な賞品が贈られました。それは、ヒット大賞を受賞した歌手本人と、そのペアとして共に番組に挑んだファンの方それぞれに贈られる、当時としては非常に価値が高く夢のような景品であった「ヨーロッパ一周旅行」でした。この豪華賞品は、番組の大きな魅力の一つであり、出場者のモチベーションを高める要素となっていたでしょう。

番組の司会は、当時既に高い人気を博していた落語家である笑福亭仁鶴氏が担当しました。彼の親しみやすい人柄や巧みな話術は、番組に和やかな雰囲気をもたらし、出場者や視聴者を楽しませていたと考えられます。

番組の収録は、製作局である読売テレビが拠点を置く関西地方で行われていました。具体的には、大阪近郊にある公会堂が会場として使用されていました。公開番組形式であったため、収録会場には多くの観客が詰めかけ、番組を間近で観覧していたものと思われます。

この番組の提供スポンサーは、放送期間中に変更がありました。番組がスタートした前期においては、前番組である『スターと飛び出せ歌合戦』から引き続き、エヴェレストヂャー（ナショナル魔法瓶工業）一社による単独提供体制でした。しかし、放送の後期に入ると、エヴェレストヂャーに加えて、加美乃素本舗が新たな提供スポンサーとして加わり、複数社提供へと移行しました。このスポンサー構成の変化が、番組の内容や運営にどのような影響を与えたかは明確ではありません。

この番組に関する記述は、当時の東京新聞などの資料に見られます。短い放送期間ながらも、歌手とファンのペアが出場し、豪華なヨーロッパ旅行を目指すというユニークな形式を持った歌謡クイズ番組として、当時の視聴者に記憶されている番組の一つと言えるでしょう。

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