ゆきかぜ (宇宙戦艦ヤマト)

宇宙駆逐艦『ゆきかぜ』：その誕生と系譜

『宇宙戦艦ヤマト』シリーズにおいて、地球防衛軍の宇宙駆逐艦「ゆきかぜ」は、その勇猛果敢な戦いぶりと悲壮な最期で、多くのファンを魅了してきた艦艇です。制式名称は「M-21881式雪風型宇宙突撃駆逐艦」とされ、同型艦が多数存在した地球防衛艦隊の重要な戦力でした。艦長は古代守。その艦名は、戦艦大和の沖縄特攻に随行した駆逐艦「雪風」に由来し、作品内では艦体に平仮名で表記されている点が特徴です。

艦体と武装：航空機と宇宙艦艇の融合

「ゆきかぜ」のデザインは、大型航空機と宇宙艦艇を融合させたような独特のシルエットが印象的です。低く扁平な艦橋は、第二次世界大戦期の爆撃機を思わせる形状をしており、艦首には左右に広がる板状構造物と、そこから伸びる複数のフィンが装備されています。艦尾には推進ノズル、そして艦体各所に補助的な小型ノズルが配置され、高い機動力を実現していることがうかがえます。

塗装は黄色、赤色、白色の三色が基調となっており、艦体の各部に塗り分けられています。

武装面では、艦橋前方に固定式のミサイル発射管3門を備え、艦橋背後と艦体裏面には3連装小口径光線砲を2基搭載。光線砲は、設定や作品によってレーザー砲として描かれる場合もあります。

旧作『宇宙戦艦ヤマト』における活躍と最期

旧作『宇宙戦艦ヤマト』において、「ゆきかぜ」は冥王星宙域でのガミラス艦隊との戦闘で活躍します。数隻の敵艦を撃沈するものの、地球防衛艦隊は壊滅的な打撃を受けます。撤退命令を受けたにもかかわらず、古代守艦長は命令に従わず、ガミラス艦隊に単艦で挑み、壮絶な最期を遂げました。その勇姿は、視聴者に深い印象を与え、シリーズにおける重要なエピソードとなっています。その後、土星の衛星タイタンで氷結した状態で発見されます。第18話では、その最期が旗艦である沖田艦を守るための盾となったことが明らかになります。しかし、実は出撃時点で既に整備不良で帰還は不可能であったという事実も語られます。

リメイク作品『宇宙戦艦ヤマト2199』以降

『宇宙戦艦ヤマト2199』では、「ゆきかぜ」は「磯風型突撃宇宙駆逐艦」として再登場。艦名表記はカタカナとなり、デザインにも変更が加えられています。ガミラス戦役以前の内惑星戦争で活躍した宙雷艇のコンセプトを受け継ぎ、高い機動力と攻撃力を有する小型コルベット艦として設定されています。艦首には対艦砲が追加され、武装も強化されています。識別番号はDDS-117。劇中では、冥王星会戦において、他の同型艦と共に奮戦しますが、古代艦長率いる「ユキカゼ」を除く全艦が撃沈されます。「ユキカゼ」も敵艦隊に突入し、消息不明となります。その後、土星の衛星エンケラドゥスで氷結した状態で発見されますが、生存者は確認されませんでした。

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』では、新型機関に換装した改良型「磯風改型」が登場。機動性が向上し、新型兵装を装備しています。塗装も変更されており、地球連邦防衛軍のエンブレムが大きくプリントされています。

その他の作品における「ゆきかぜ」

様々な作品で、「ゆきかぜ」をモチーフとした艦艇が登場します。小説版では「ゴッド・ウインド号」として、実写映画版ではデザインが変更された艦として登場。また、『新宇宙戦艦ヤマト』では、その名を継承する宇宙艦「雪風」が登場します。さらに、PS2ゲームシリーズでは、タイタンで発見された「ゆきかぜ」を改造した無人艦「雪風・改」が登場し、ヤマトと共に活躍します。

結び

「ゆきかぜ」は、その勇ましい戦いぶりと悲劇的な最期、そして様々な作品への登場を通して、宇宙戦艦ヤマトシリーズにおいて象徴的な存在となっています。そのデザインや設定、劇中での活躍は、長年にわたって多くのファンを魅了し続けています。それぞれの作品における「ゆきかぜ」の活躍を辿ることで、シリーズの歴史と深遠な世界観の一端に触れることができるでしょう。

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