ら・むうん

ら・むうん：多様な顔を持つ創作集団

ら・むうんは、日本を拠点とする独自の活動を展開する創作集団であり、同人サークル、劇団、そして著作権管理団体という多岐にわたる顔を持っています。著作権管理においては、有限会社La・Moon（読み方は同じ）として法人格を有しています。この団体は、1986年頃に有里紅良氏によって設立されました。

黎明期：鬼太郎座から『女禍』へ

その始まりは、水木しげる作品、特に『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』といった作品群を扱う同人サークル「鬼太郎座」でした。彼らの活動の中心には、ダイナビジョン作品『女禍』の制作がありました。主催者の有里氏が虫プロダクションのフィルム編集技師であったことから、その活動は初期から一般的な同人サークルの域を超えていました。

音響技師や作曲家への依頼、一般公募による役者やスタッフの起用など、その制作体制はセミプロレベルと言えるものでした。さらに、水木しげる氏をスーパーバイザーとして迎え、脚本・絵コンテの監修を依頼し、田の中勇氏を目玉おやじ役兼スーパーバイザーとして招聘するなど、豪華な布陣で制作が行われました。

1989年に『女禍』を発表後、鬼太郎座は一度解散しました。

再始動と進化：月読温泉旅行倶楽部から創作集団へ

しかし、制作の熱意が冷めやらない有里氏らは、解散から1年も経たないうちに、制作の軌跡を同人誌として残すため、同人サークル「月読温泉旅行倶楽部」を立ち上げます。『女禍』制作を題材としたフィクション漫画『黒い聖母』を同人誌として発行し、1992年に最終巻を発行して再び解散しました。

その後、メンバーの夢来鳥ねむ氏が『宮狐』で漫画家デビュー。伝奇作品『緋翔伝』の制作を開始したことで、制作メンバーは夢来鳥氏の制作サポートスタッフ兼ストーリー構想シンクタンクとして再集結し、有里氏を代表とする創作集団へと発展しました。

演劇と著作権管理：多角的な活動

夢来鳥氏の代表作『HAUNTEDじゃんくしょん』の発表後、ら・むうんはファンサービスとして同作を基にした演劇作品を披露しました。以前から水木しげる作品をモチーフにしたミニ演劇を行っていたこともあり、劇団としての側面も持つようになりました。

有里氏が原作、夢来鳥氏が漫画という制作体制が確立する一方で、作品群の著作権管理の必要性が高まりました。そのため、ら・むうんは著作権管理団体としての活動を行う必要に迫られ、有限会社La・Moonを設立し、その名義で活動を行うことになりました。

作風：水木しげる作品からの影響と独自の視点

元々が水木しげる作品の同人集団であるため、同作家の作品群が重視する「見えざるもの、現代の宗教や社会・倫理にまつろわざるものたちとの共存共栄」をテーマとしています。

発表される作品群は常に水木作品を意識しており、現代的な視点からビジュアルや人間関係の設定を再構築することが多く、一種の「水木しげる作品群のパラレルワールド」とも言えます。ただし、水木氏が「まつろわぬ者たちに出会うための自然・過去への回帰」を掲げることが多いのに対し、ら・むうんはこれを「現在そこに確かに存在する隣人」として表現し、「自然でない場所にも人間が存在する限り、まつろわぬものたちはそこにいる」ことを重視しています。

主なメンバー

有里紅良
夢来鳥ねむ
その他、一般社会人多数

主な作品

なぞらえ屋シリーズ
創作民話シリーズ

外部リンク

有限会社La・Moon
* ら・むうん畑

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