わかば (護衛艦)

わかば（ローマ字：JDS Wakaba, DE-261）

「わかば」は、1956年から1971年まで海上自衛隊で運用されていた護衛艦で、日本海軍の駆逐艦「梨」の改修後に再就役した艦艇です。その歴史は特異で、戦争の名残を持ちながら新たな役割を果たすこととなります。ここでは「わかば」とその前身「梨」の艦歴について詳しく解説します。

駆逐艦「梨」の艦歴

駆逐艦「梨」は1944年に川崎重工業神戸艦船工場で建造され、1945年に竣工しました。日本海軍の松型駆逐艦に属し、戦時中は第十一水雷戦隊に配属され、訓練に従事しました。しかし、訓練航海は燃料不足により限られた回数で、乗組員の練度も不十分でした。1945年の夏、防空任務を果たしている最中に、アメリカ海軍の空襲を受け、最終的には沈没してしまいます。この艦での戦死者は38名に上り、多くの乗組員が悲劇的な運命を迎えました。

戦後の転機

戦後、「梨」は海底に沈んだまま放置されていましたが、1954年に地元の漁協による引き揚げ計画が進められることになりました。成功裏に浮揚された「梨」は、状態が良好だったため、国が再就役する計画を立てました。その結果、1956年に「警備艦わかば」として海上自衛隊に編入されました。艦名の変更は、誤解を招かないための配慮と言われています。

護衛艦「わかば」の新たな役割

「わかば」は、引き揚げられた際に大規模な修復工事が施され、艦橋や兵装が一新されました。初期の頃は無兵装の練習艦として運用されましたが、その後、アメリカ式の兵装が施されたことで、乙型警備艦としての能力を持つようになりました。また、同艦は高角測定レーダーを装備するなど、実験艦としての役割を果たすことにもなりました。

「わかば」はその後、様々な任務に従事します。特に、1957年には利島への水輸送や、1962年の三宅島噴火における避難民の救助など、多岐にわたる任務を遂行しました。1970年には訓練中の事故も経験しますが、様々な困難を乗り越えました。

終焉と遺産

1971年、わかばは海上自衛隊から除籍され、その後解体されました。「わかば」は日本海軍の艦艇が自衛隊に生まれ変わった唯一の例であり、歴史的な意義を持っています。また、艦の遺産として「梨」時代の武装の一部は、現在も展示されています。

まとめ

「わかば」の艦歴は、戦争、沈没、再生といった波乱に満ちたもので、その時代背景を考えると深い感慨を誘います。海上自衛隊において「梨」の名を引き継いだ「わかば」とは、単なる艦船を超えて、戦争の名残と新しい時代の狭間に位置する象徴的な存在です。今も続くその物語は、海軍の栄光と悲劇を物語っています。

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