わが心にかくも愛しき

わが心にかくも愛しき：少年と子羊の心温まる物語

ウォルト・ディズニー・カンパニーが1948年に製作した『わが心にかくも愛しき』（原題：So Dear to My Heart）は、実写とアニメーションを巧みに融合させた、心温まる物語です。スターリング・ノースの児童向け小説『Midnight and Jeremiah』を原作に、82分の作品時間は、少年の成長と、彼を取り巻く人々との触れ合いを丁寧に描き出しています。

物語の舞台は、のどかなアメリカの農場。主人公のジェレマイア・キンケイド（ジェリー）は、おばあさんと一緒に暮らしています。ある日、ジェリーは黒い子羊のダニーを預かることになります。

ジェリーは、ハイラムおじさんから郡共進会の品評会で優勝すれば賞品がもらえるという話を聞き、ダニーを優勝させるべく、熱心に調教を始めます。しかし、ダニーの調教は、おばあさんとの衝突を招くこともしばしば。おばあさんとジェリーとの間には、時に意見の食い違いが生じますが、そこには深い愛情が感じられます。

ダニーの調教を通して、ジェリーは責任感や忍耐強さ、そして周りの人々への感謝を学び成長していきます。品評会当日、ダニーはジェリーの努力が実り、見事特別賞を受賞します。この成功体験は、ジェリーにとってかけがえのない思い出となるのです。

本作の魅力は、少年と動物との間の純粋な友情や、家族の温かさ、そして農村の美しい風景描写にあります。アニメーションと実写を組み合わせた独特の映像表現も、物語の世界観を豊かに彩っています。

キャストには、ジェリー役をボビー・ドリスコール、おばあさん役をビューラ・ボンディ、そしてハイラムおじさん役をバール・アイヴスといった実力派俳優が名を連ねています。

挿入歌として使用されている「ラベンダー・ブルー」は、ハイラムおじさんが劇中でギターを奏でながら歌う楽曲で、第22回アカデミー賞歌曲賞にもノミネートされました。この歌は、作品全体の温かい雰囲気をさらに高める重要な要素となっています。

1948年11月29日にシカゴで先行公開された後、翌1949年1月19日に全米で公開。日本での公開は1951年9月2日でした。ソフト化はされていませんが、2014年には物語に登場する「こひつじのダニー」が、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーでオリジナルグッズのキャラクターとして登場するなど、現在でも高い人気を誇っています。

『わが心にかくも愛しき』は、時代を超えて人々の心を掴む、普遍的なテーマと魅力的なキャラクター、そして美しい映像によって彩られた、忘れがたい名作です。家族で楽しめる、心温まる感動の物語をぜひ一度ご覧になってみてください。

もう一度検索