わたしのまちは

「わたしのまちは」の背景と意義

「わたしのまちは」は、人気のコーラスグループ「サーカス」によって創唱された楽曲です。この曲は、熊本県八代市の市民愛唱歌として広く親しまれていますが、その成り立ちは興味深いものがあります。楽曲の作詞は河島渉、作曲は円広志、編曲は森俊之によるもので、1990年（平成2年）の市制50周年を記念して作られました。

八代市では、1940年（昭和15年）に市制が施行されると同時に「八代市歌」や「大八代行進曲」が制定されました。しかし、これらの曲は、当時の皇紀に基づく大時代的な歌詞が問題視されるようになり、戦後は公的に演奏されない状況が続きました。

その後、1970年（昭和45年）には、市制30周年を記念して新たな市民歌「陽は昇る」が制定され、こちらは現在まで30年以上の間市民に歌い継がれてきました。こうした経緯の中で「わたしのまちは」は、この市民歌に対する市民の愛唱歌として位置付けられました。

平成の大合併と市民歌の継承

2005年（平成17年）8月1日、八代市は周辺の2町3村と合併し、新しい八代市が発足しました。この合併に際して八代地域の市町村では市民歌や音頭の制作について協議が行われましたが、どの町村も独自の市町村歌を持っていませんでした。そのため、合意の中で新市の歌は新たに定めることとされ、現在の市歌や町村音頭については「愛唱歌」として伝承されることが確認されました。

このようにして、旧八代市で制作された「陽は昇る」と「わたしのまちは」の2曲は、合併後も市民に親しまれることとなりました。特に「わたしのまちは」は統一的な市民歌としての位置付けがされ、地域の記憶と文化として大切にされています。

現在の「わたしのまちは」の活動

合併後は、市内の防災無線で「わたしのまちは」が定期的に流されるようになり、地域住民にとっての親しみやすいメロディとして定着しています。また、毎年夏に開催される「やつしろ全国花火競技大会」では、フィナーレにこの曲が演奏され、市民の心に深く刻まれています。

「わたしのまちは」は、八代市のアイデンティティの一部として、今後も地域のイベントや日常生活の中で歌われ続けることでしょう。それは、ただの音楽ないし市民歌としての役割を超えて、八代の人々、文化、そして共有された歴史を繋いでいく重要な存在となっています。

参考文献

• - 『八代市勢一覧』昭和16年版（八代市役所、1941年）

関連リンク

• - 熊本県の市町村歌一覧
• - わたしのまちは - 八代市観光情報

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