われらが愛知

「われらが愛知」とその歴史

「われらが愛知」は、日本の愛知県が制定した県民歌です。1950年に、愛知国体の開催に合わせて誕生しました。作詞は若葉清成が担い、補作詞を西條八十が、作曲を古関裕而が行いました。この曲は、愛知県民の情熱と誇りを表現するものであり、さらに県の復興を思わせる内容も含まれています。

県民歌制定の背景

県民歌の多くは国民体育大会を契機に制定されますが、「われらが愛知」は、特に1945年の第二次世界大戦後の県の復興を歌った要素も持っています。県土の再建に向けた意志を表現することに加え、この歌は名古屋港の発展を讃えており、昭和初期から国際港として急成長を遂げていた背景を反映しています。

そのため、歌の中には愛知県が抱える多様な側面が色濃く映し出されています。主に県の行事に使用されるこの曲ですが、2008年にはブラジル愛知県人会の50周年記念式典でも演奏されるなど、県外でもその影響力を持つ存在となっています。

歴史的な背景

「われらが愛知」の制定に至るまでの経緯は興味深いものがあります。1918年、愛知県教育会が「愛知県歌」の懸賞募集を始めたことが、県民歌の成立への第一歩でした。この際、名古屋市歌を作った上田萬年が審査委員長となり、数多くの応募作が寄せられるも、結果は「該当作無し」となりました。この結果には、当時の歌詞に対する要求が非常に高かったことが反映されています。

その後、戦後の混乱の中で県民歌の必要性が増していき、1950年に新たに歌詞の募集が行われることになります。県と中部日本新聞社は「郷土色豊かで愛知県の発展を謳う歌」というコンセプトで1,073編の応募作から若葉清成の歌詞を選びました。これが「われらが愛知」の基となりました。

制定と広まり

選定された歌詞をもとに、西條八十が補作詞を行い、古関裕而が作曲を手がけて完成したこの曲は、1950年8月15日に県広報紙で発表され、正式に県民歌として制定されました。さらに、同年、日本コロムビアが藤山一郎と安西愛子による歌唱のレコードも制作しています。

現在は、愛知県の誇りとも言える「われらが愛知」は、さまざまな行事やイベントで歌われることが少なくなっていますが、県民にとっては深い思い出と歴史を刻む歌曲となっています。また名古屋市では、県民歌の制定よりも早く1910年に「名古屋市歌」が発表されており、市歌としても深い歴史を持っています。このように、愛知県には歌にまつわる深い文化が根付いています。

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