アアル

アアル

アアル（Aaru）は、古代エジプト神話における楽園であり、「アアルの野」や「葦原」とも呼ばれます。太陽が昇る東方に存在し、永遠のナイル川が流れる肥沃な三角州のような理想郷とされています。

概要

アアルは、ヘリオポリス九柱神の一柱であるオシリス神が支配する世界です。古代エジプト人は、死後の魂が死者の審判を経て冥界ドゥアトを通り、この楽園で再生すると信じていました。アアルは、狩猟や漁撈を楽しみながら永遠に暮らせる場所として考えられていました。

信仰

アアルは、葦が茂る緑豊かな野原であり、オシリス神が住む恵みの地として知られています。エジプトでは「Sekhet Hetepet（平和の野原）」と呼ばれていました。死者は厳しい審査と数々の関門を通過することで、この楽園に入ることが許されると信じられていました。

死者の書と審判

『死者の書』には、アアルに至るまでの危険を回避する方法や対処法が詳しく記されています。死者は死後の審判において、女神マアトの「真実の羽根」と心臓を天秤にかけられます。心臓が生前の悪行によって重くなり、天秤が釣り合わなければ、心臓は怪物アメミットに喰われ、「第二の死」を迎えることになります。しかし、心臓が軽く、真実の羽根と釣り合えば、魂はアアルへの長い旅に出ることができるのです。

アアルへの道

アアルにたどり着くまでの道のりは決して容易ではありません。魂は多くの危険に遭遇し、いくつもの関門を通過しなければなりません。これらの関門は、神への供物の量に応じて15から20箇所存在するとされ、刀を持った悪霊によって守られています。無事にすべての関門を通過した魂は、ついにアアルに到達し、永遠の平和と幸福を享受することができるのです。

アアルは、古代エジプト人にとって、死後の理想的な世界であり、来世への希望の象徴でした。

関連項目

エーリュシオン
エデンの園
ヒュペルボレア
豊葦原中津国
吉野
奪衣婆、懸衣翁

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