アイスランディック航空001便墜落事故

アイスランディック航空001便墜落事故

アイスランディック航空001便墜落事故は、1978年11月15日、スリランカのコロンボにあるバンダラナイケ国際空港で発生した痛ましい航空事故です。

事故の発生

この事故は、アイスランドの航空会社であるロフトレイディル社が運航していたチャーター便HFLL001便が、目的地へ向かう途中で立ち寄ったコロンボ空港への着陸進入中に起こりました。

事故機はダグラス社製のDC-8-63F型機で、機体記号はTF-FLA、「レイファー・エリクソン」と名付けられていました。この便は、サウジアラビアのジッダからインドネシアのスラバヤへ向かうイスラム教徒の巡礼者を輸送する目的で運航されており、コロンボには燃料補給と乗員の交代のために立ち寄る予定でした。

しかし、コロンボへの最終アプローチ中に、機体は滑走路の手前に墜落しました。

犠牲者

事故発生時、機内には乗客乗員合わせて262人が搭乗していました。

乗員: 13人のアイスランド人乗員のうち8人、そして搭乗していた5人の予備乗員が亡くなりました。
乗客: 主に南ボルネオ出身のインドネシア人イスラム教巡礼者約170人が犠牲となりました。

この事故により、合計183人の尊い命が失われました。生存者は79人でした。

事故当時の状況と原因に関する見解

事故が発生した1978年11月15日の夜、コロンボ空港周辺は悪天候に見舞われていました。報告によると、この地域では雷雨が発生しており、特に着陸に影響を及ぼすウインドシア（風の急激な変化）も観測されていました。このような困難な気象条件下での着陸操作が求められました。

事故原因については、その後の調査で関係当局間の見解が分かれました。

スリランカ当局の公式報告書: スリランカ当局は、事故の最も可能性の高い原因として、乗員が定められた着陸進入手順を遵守しなかったこと、特に悪天候下での不適切な操縦判断や操作ミスを挙げました。
アメリカおよびアイスランド当局の主張: 一方、航空機の製造国であるアメリカと、運航会社の本拠地であるアイスランドの当局は、これとは異なる見解を示しました。両国は、事故の背景には、コロンボ空港に設置されていた計器着陸装置などの援助設備の欠陥や機能不全、および航空交通管制官の不適切な指示やミスが大きく影響していたと主張しました。

このように、事故の直接的な引き金となった事象や、その根底にある要因について、関係国間で異なる見方が示されています。

航空史における位置づけ

アイスランディック航空001便墜落事故は、アイスランドの航空史において、単一の事故で最も多くの犠牲者を出した過去最悪の悲劇として記録されています。この事故は、小さな国であるアイスランド社会に大きな衝撃を与えました。

また、スリランカにおいても、この事故は忘れることのできない出来事です。4年前にやはりコロンボ近郊で発生したマーティンエアー138便墜落事故（死者191人）に次ぐ、スリランカ航空史上2番目に犠牲者の多い事故として歴史に刻まれています。

この事故は、悪天候下における精密な操縦の重要性、空港設備の信頼性、そして航空管制と運航乗務員間の緊密な連携がいかに重要であるかを改めて示す事例となりました。

関連事項

航空事故の一覧
マーティンエアー138便墜落事故

参照文献

Report of the Commission of Inquiry appointed by His Excellency the president to inquire into the causes and circumstances in which Loftleider Icelandic Airways aircraft DC-8-63F TF-FLA met with an accident in the vicinity of the Katunayake Airport on 15th November 1978 (スリランカ民間航空局)
関連書籍: Útkall: Leifur Eiríksson brotlendir (Óttar Sveinsson著)

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