アイソラーII・ツアー

デヴィッド・ボウイによる1978年の重要なコンサート・ツアー、「アイソラーII・ツアー」は、彼の代表作であるアルバム『ロウ』および『ヒーローズ』のリリースを受けて展開されました。このツアーは「ロウ / ヒーローズ・ツアー」という別名でも広く知られています。ボウイの創造性が新たな高みを示した時期に行われた本ツアーは、当時の彼の音楽的方向性を反映した内容となりました。

本ツアーからは複数の公式ライブ音源が発表されています。まず、1978年に行われたアメリカ公演の中から、フィラデルフィア（4月28日、29日）、プロビデンス（5月5日）、ボストン（5月6日）での記録が選ばれ、同年のうちにライブアルバム『ステージ』としてリリースされました。さらに時代を経て、2018年には新たなライブ音源が登場します。これは、1978年6月30日と7月1日にロンドンのアールズ・コートで行われた公演の記録であり、『ウェルカム・トゥ・ザ・ブラックアウト〜ライヴ・ロンドン'78』として公式に発表されました。これらの音源は、ツアー当時の演奏の迫力やバンドの力量を知る上で貴重な資料となっています。

アイソラーII・ツアーは、遠く日本にも及びました。ツアーの最終公演は、1978年12月12日に東京のNHKホールで開催されました。この記念すべき公演は、日本の公共放送局であるNHKによって特別に撮影されました。その記録映像は、翌年の1979年3月26日にNHK総合テレビジョンの音楽番組「ヤング・ミュージック・ショー」にて放送され、日本のファンにボウイの当時のパフォーマンスを伝える貴重な機会となりました。

本ツアーを支えたバンドメンバーもまた、注目に値します。リーダーであるデヴィッド・ボウイはボーカルとチェンバリンを担当しました。ギター陣では、エイドリアン・ブリューがリードギターとバッキング・ボーカルを務めました。彼の参加は、当時フランク・ザッパのバンドから「引き抜かれた」と認識されるほど、その実力が評価されていました。カルロス・アロマーはリズムギターとバッキング・ボーカルを担当し、バンドの音楽ディレクターとしても重要な役割を果たしました。リズムセクションは、ジョージ・マレーがベースとバッキング・ボーカルを、デニス・デイヴィスがドラムスとパーカッションを担当し、強固な基盤を築きました。キーボードパートはロジャー・パウエルが主に担当し、キーボード、モーグ・ベース、シンセサイザー、バッキング・ボーカルを務めましたが、1978年11月11日から14日までの期間はデニス・ガルシアが代役を務め、キーボードとシンセサイザーを演奏しました。さらに、ショーン・メイズがピアノ、ストリングアンサンブル、バッキング・ボーカルでサウンドに厚みを加え、サイモン・ハウスがエレクトリック・ヴァイオリンで独特の色彩を添えました。これらの凄腕ミュージシャンたちが一体となり、ボウイの革新的な楽曲群を見事に演奏しました。

ツアー期間中に演奏された楽曲のリストは、公演ごとに異なっていたと考えられます。提供された情報の中には、1978年5月9日にニューヨークで行われたライブのセットリストの項目がありますが、これはあくまで一例であり、ツアー全体でのすべてのセットリストを代表するものではないことが明記されています。

アイソラーII・ツアーは、1978年のデヴィッド・ボウイの音楽的成果を示す重要なツアーであり、その記録はライブアルバムやテレビ放送によって今に伝えられています。

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