アイデア (雑誌)

『アイデア』は、誠文堂新光社が発行する、世界的に知られるデザイン誌です。その副題は「international graphic art and typography」であり、国際的な視点からグラフィックアートとタイポグラフィの動向を捉えています。1953年の創刊以来、デザイン界の重要な情報源として、国内外のデザイナーやクリエイターに支持されてきました。

歴史

『アイデア』の前身は、1926年に創刊された『広告界』という雑誌でした。『広告界』は、当時唯一の全国的な広告・商業美術誌でしたが、戦時下の言論統制により1941年に休刊を余儀なくされました。戦後、誠文堂新光社の会長であった小川菊松は、『広告界』の復刊を宮川峻に打診しました。このことがきっかけとなり、『アイデア』の創刊構想がスタートしました。

宮川峻は、デザインの黄金期が到来することを予見し、読者層をデザイン関係者に絞り込むことを決定しました。また、当時の日本では海外のデザイン動向がほとんど伝わっていなかったため、日本と海外のデザイナーを結びつけ、情報交換を促進する役割を雑誌に担わせるという基本構想を打ち立てました。雑誌名である『アイデア』は、宮川が銭湯で発案したという逸話が残っています。

その後、『広告界』からの友人であった大智浩と、アシスタントの相原静子が創刊準備メンバーに加わり、雑誌の制作体制が整いました。1952年には、小川菊松が海外の出版社やデザイン会社を訪問し、協力関係を結び、創刊に向けての準備を加速させました。そして、1953年7月1日、『アイデア』創刊号が発売されました。創刊号の表紙は、亀倉雄策の推薦により伊藤慶司が担当しました。2号は大智浩、3号は亀倉雄策が担当しています。

創刊当初は隔月刊でしたが、4号でイタリアの作家陣を特集したことから国際色を強め、その後、記事の英文翻訳も掲載されるようになりました。1962年4月号（52号）からは、和文の副題が「デザイン・宣伝・販売」から「世界のデザイン誌」に改められ、現在に至っています。2015年1月号（368号）からは、季刊へと移行しました。

ロゴ

『アイデア』のロゴデザインは、創刊から300号までは亀倉雄策が担当し、301号からはヘルムート・シュミットが担当しました。

英文副題

『アイデア』の英文副題は、時代とともに変化してきました。

1号から254号：International Advertising Art
255号から300号：International Graphic Art
* 301号以降：International Graphic Art and Typography

『アイデア』の意義

『アイデア』は、単なるデザイン誌ではなく、国際的なデザインの動向を伝えるとともに、日本と海外のデザイン関係者をつなぐ重要な役割を担ってきました。その歴史は、日本のデザイン界の発展とともにあり、多くのデザイナーに影響を与えてきました。現在も、世界中のデザイナーやクリエイターに愛読され、その影響力はますます大きくなっています。

外部リンク

アイデア - 世界のデザイン誌（公式サイト）
Publishing in an age of pervasive design: An interview with IDEA magazine’s Kiyonori Muroga『Japan Times』編集長インタビュー（英文）（2015年9月19日）
誠文堂新光社

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