アイデンティティー (映画)

アイデンティティー (映画)

『アイデンティティー』（原題：Identity）は、2003年に公開されたアメリカ映画です。ジェームズ・マンゴールドが監督を務め、アガサ・クリスティの推理小説『そして誰もいなくなった』から着想を得たサスペンス作品として知られています。

概要

物語は、嵐によって孤立したモーテルに、偶然集まった11人の男女を巡ります。それぞれ見知らぬ者同士である彼らは、一人、また一人と謎の死を遂げていきます。映画は、登場人物たちがモーテルに到着するまでの過程をリバースクロノロジーで描き出し、同時に、ある殺人犯の死刑執行を巡る検察と弁護士の攻防を挿入しながら進行します。

アメリカでは2003年4月25日に公開され、初登場で週末興行収入1位を獲得し、その後も5週間にわたりトップ10にランクインしました。日本では同年10月25日に公開されています。

ストーリー

物語は、死刑囚マルコム・リバースの死刑執行前夜、彼の精神鑑定による再審議から始まります。一方、激しい雨に見舞われた寂れたモーテルには、様々な事情を抱えた11人が集まっていました。運転手のエド、女優のカロライン、夫婦のジョージとアリス、その息子のティミー、娼婦のパリス、夫婦のジニーとルー、刑事のロードと護送中の囚人ロバート、そしてモーテルの支配人ラリーです。

一夜を過ごすことになった彼らの前で、最初の殺人事件が発生します。カロラインが無残な姿で殺害され、その後もルー、ロバートと、次々に犠牲者が増えていくのです。殺害現場には、部屋番号が書かれた鍵が、まるでカウントダウンするかのように残されていました。疑心暗鬼に陥った人々は互いを疑い始め、モーテルから逃げ出そうと試みますが、状況は悪化の一途を辿ります。

死んだはずのアリスの側に6号室の鍵があり、偶然死んだはずのジョージのズボンからは7号室の鍵が発見されます。逃げようとしたジニーとティミーが乗った車は爆発。しかし、消火後、周辺に死体はなく、モーテルに戻ると死んだはずの人間や血痕までもが消え去っていました。エド、ロード、パリス、ラリーは、4人の誕生日が近いことを知り、身分証を確認すると、11人全員の誕生日が5月10日であることに気づき、混乱します。さらに調査を進めると、全員の名前が州の名前を含んでいることが判明します。

登場人物

エド・ダコタ (Edward "Ed" Dakota)
演：ジョン・キューザック
カロラインの運転手で、元ロサンゼルス市警察の警察官。過去のトラウマから休職中。
カロライン・スザンヌ (Caroline Suzanne)
演：レベッカ・デモーネイ
落ち目の女優。わがままでトラブルメーカー。
サミュエル・ロード (Samuel Rhodes)
演：レイ・リオッタ
囚人を移送中の刑事。実は殺人犯で、本物の刑事と入れ替わっている。
ロバート・メイン (Robert Maine)
演：ジェイク・ビジー
移送中の連続殺人犯。
パリス・ネバダ (Paris Nevada)
演：アマンダ・ピート
娼婦。故郷に帰ることを夢見ている。
ラリー・ワシントン (Larry Washington)
演：ジョン・ホークス
モーテルの支配人。ギャンブルで身を滅ぼした過去を持つ。
ジニー・バージニア (Ginny Virginia)
演：クレア・デュヴァル
ルーの妻。ヒステリックな性格。
ルー・イジアナ (Lou Isiana)
演：ウィリアム・リー・スコット
ジニーの夫。女好き。
ジョージ・ヨーク (George York)
演：ジョン・C・マッギンリー
アリスの夫。車のパンクがきっかけでモーテルに滞在することになる。
アリス・ヨーク (Alice York)
演：レイラ・ケンズル
ジョージの妻。事故で重傷を負う。
ティミー・ヨーク (Timothy "Timmy" York)
演：ブレット・ローア
アリスの連れ子。過去のトラウマから口数が少ない。
マルコム・リバース (Malcolm Rivers)
演：プルイット・テイラー・ヴィンス
死刑囚。解離性同一性障害を抱えている。
マリック医師 (Dr. Mallick)
演：アルフレッド・モリーナ
* マルコムの担当医。彼の精神状態を理由に死刑執行に反対している。

もう一度検索