アイヌ解放同盟

アイヌ解放同盟の歴史と活動

アイヌ解放同盟（アイヌかいほうどうめい）は、アイヌ民族による市民団体で、1972年に設立されました。この団体はアイヌの権利を主張し、差別や偏見に立ち向かう活動を行っています。

沿革

同団体の設立者は当時北海道ウタリ協会の理事でもあった結城庄司氏や山本一昭氏などです。結城は初代代表として活動を始めました。

1972年8月25日、札幌医科大学で開催されていた第26回日本人類学・民族学連合大会に対し、結城と太田竜氏は演壇を占拠し、公開質問状を読み上げるというアクションを起こしました。次の月、9月20日には結城が太田らと共に、シャクシャイン像の台座から北海道知事の名前を削り取る行動に出ます。この活動を通じて、アイヌの歴史や権利への認識を広めようとしました。

1973年3月には「アイヌ解放の夕べ」を主催し、アイヌ文化の復興やその重要性を訴えました。翌年1974年には、結城がクナシリ・メナシの蜂起の犠牲者を同情して行われる供養祭『ノッカマップ・イチャルパ』の初代委員長に就任。このように、アイヌ民族への敬意を示し続ける活動を続けます。

しかし1974年10月21日、結城はシャクシャイン像を毀損した罪で逮捕され、その後釈放されました。釈放後の記者会見では、アイヌ革命論に基づく太田氏との意見の相違を表明し、両者の関係は緊張を増していきます。このように、アイヌ解放同盟は内部の意見対立の中でも、アイヌの権利向上に尽力しました。

また、1975年の北海道警察爆破事件や1976年の北海道庁爆破事件も、この団体の一部メンバーとの関係が取りざたされる事件でした。

1977年、林善茂教授の講義におけるアイヌに対する差別を指摘し、「北海道大学差別講義糾弾闘争」を組織。この活動では北大の経済学部前にテントを張り、抗議を表明しました。

1983年に結城は急性心不全により逝去。その後、山本一昭を中心に他のメンバーが活動を引き継ぎ、1995年には『北方領土の日』反対の全国集会を札幌で開催しました。これは以後毎年行われるようになりました。

1996年には「『北方領土の日』反対！『アイヌ新法』実現！全国実行委員会」が設立され、その代表に山本一昭が就任しました。

主張と目的

アイヌ解放同盟は、アイヌの尊厳を守ることを基本的な理念とし、差別や偏見に抗議をしています。特に、自決権や先住権に基づくアイヌ民族の権利の回復を強く主張しているのです。

具体的には北海道や本州北部、南サハリン、千島を含む地域におけるアイヌの先住権を再確認し、特に「北方領土は日本固有の領土である」という論理には強く反対しています。北方領土返還に関しても、その背景となる歴史を考慮することの重要性を指摘しています。これらの活動を通じて、アイヌ民族が直面する問題を解決し、彼らの権利が認められる社会を築くことを目指しています。

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