アイランドNo.10の戦い

アイランドNo.10の戦い：ミシシッピ川の要衝を巡る攻防

アイランドNo.10の戦いは、南北戦争の初期、1862年2月28日から4月8日にかけて、ミズーリ州とテネシー州の州境付近のミシシッピ川で行われた重要な戦いです。この戦いは、北軍がミシシッピ川の支配権を確保する上で決定的な役割を果たしました。また、「ニューマドリードの戦い」とも呼ばれることがあります。

戦闘に至る背景

北軍がヘンリー砦とドネルソン砦を占領した後、南軍はミシシッピ川の防衛を強化する必要に迫られました。南軍のP・G・T・ボーリガード将軍は、コロンバスから約100km下流のミシシッピ川の屈曲部にあるアイランドNo.10を新たな防衛拠点として選びました。島の砲台と浮き砲台を配置し、周辺のニューマドリードの町も守っていました。しかし、この町は防御上の弱点となっていました。

戦闘の経過

2月28日、北軍のジョン・ポープ准将は、ミズーリ州コマースからニューマドリードに向けて進軍を開始しました。沼地を物資や大砲を運びながらの困難な行軍の後、3月3日にニューマドリード郊外に到着しました。ポープは、ニューマドリードが重火砲と砲艦によって守られていることを知り、包囲戦を開始しました。南軍の指揮官ジョン・P・マッカウンは、ニューマドリードとアイランドNo.10の両方を守っていましたが、3月13日、ポープの攻囲砲による激しい砲撃を受けました。

南軍はニューマドリードの防御が困難と判断し、町を放棄してアイランドNo.10とその対岸のティプトンビルに兵力を移動させました。3月14日、ポープ軍はニューマドリードが無人になっているのを確認し、町を占領しました。3月15日には、海軍のアンドリュー・H・フット将官が率いる北軍艦隊がアイランドNo.10の上流に到着しました。

戦況が大きく動いたのは4月4日の夜でした。北軍の鋼製被覆砲艦USSカロンデレトがアイランドNo.10の砲台下を通過し、ニューマドリード沖に停泊しました。4月6日にはUSSピッツバーグも続き、北軍の砲艦は南軍の砲台を制圧し、ポープ軍が川を渡って南軍の退路を塞ぐことが可能となりました。南軍のウィリアム・W・マッコール准将は、4月8日にアイランドNo.10を明け渡し、約7,000人の兵士と共に降伏しました。

戦闘の影響

アイランドNo.10の戦いの結果、北軍はミシシッピ川の支配権を大きく前進させました。これにより、北軍はテネシー州ピロー砦まで川を航行できるようになり、その後のメンフィスの戦いにおけるメンフィスの奪取を可能にしました。

この戦いで使用されたアイランドNo.10自体は、その後のミシシッピ川の浸食により消滅してしまいましたが、その歴史的な意義は大きく、南北戦争における重要な転換点の一つとして語り継がれています。

まとめ

アイランドNo.10の戦いは、南北戦争における西部戦線での重要な戦いであり、北軍がミシシッピ川の支配を確固たるものとする上で、決定的な役割を果たしました。この戦いの勝利は、北軍にとって戦略的な勝利であり、その後の戦局に大きな影響を与えました。

参考文献

National Park Service battle description
Daniel, J. Larry & Bock, Lynn N., Island Number Ten: Struggle for the Mississippi Valley, The University of Alabama Press, 1996.

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