アウグスト (ザクセン＝ゴータ＝アルテンブルク公)

エミール・レオポルト・アウグスト：激動の時代を生きたザクセン＝ゴータ＝アルテンブルク公

エミール・レオポルト・アウグスト（1772年 - 1822年）は、ザクセン＝ゴータ＝アルテンブルク公として、その治世と個性的な人物像で歴史に名を残しました。彼は、啓蒙思想の影響を受け、ナポレオンを崇拝し、芸術を愛し、そして型破りな行動で周囲を驚かせた人物でした。

生涯

1772年、アウグストはエルンスト2世の次男として生まれました。兄の早世により、彼は世継ぎ公子として育てられ、卓越した教育を受けました。その過程で、彼は自由、平等、友愛といった新しい思想に触れ、それらを自身の価値観として取り入れていきました。

1804年に公位を継承すると、アウグストはナポレオン1世の熱烈な支持者となりました。このことが、ナポレオン戦争においてザクセン＝ゴータ＝アルテンブルク公国に有利に働きました。公国はライン同盟に加盟し、アウグスト自身もナポレオンとの親交を深めました。フリーデンシュタイン城には、自らデザインした「ナポレオンの間」を設け、ナポレオンがゴータを訪れた際には、この部屋を寝所として提供しました。また、ナポレオンに豪華な馬車を献上するなど、その忠誠心を示しました。

1806年、フランス軍がドイツに進駐した際、アウグストはゴータに留まり、領民への被害を最小限に抑えるために尽力しました。彼はまた、フランス軍に批判的なジャーナリスト、ルドルフ・ザハリアス・ベッカーを擁護し、彼の釈放を実現させました。

アウグストは、ジャン・パウル、スタール夫人、ベッティーナ・フォン・アルニムといった著名な文学者と交流し、自身も『キレニオン、アルカディアでの1年』という詩的な長編小説を執筆しました。彼は芸術の擁護者、美術品の収集家としても知られましたが、同時にその奇抜な性格でも有名でした。ゲーテは彼を「楽しいと同時にむかむかする人物」と評しています。また、アウグストから借金の肩代わりをしてもらった作曲家カール・マリア・フォン・ウェーバーは、彼への感謝の証として「ピアノ協奏曲第2番」を献呈しました。

型破りな人物像

アウグストは、女権拡張論者としての一面も持ち合わせていました。さらに、彼はしばしば女装をして人前に現れ、ゴータ宮廷を騒然とさせました。彼の文学作品には、彼自身が同性愛傾向を持っていたことを示唆する箇所も見られます。

ナポレオンの没落後、アウグストは王侯貴族や外交官から避けられ、一般の人々からも嫌悪されるようになりました。そのような状況の中、1822年に彼は謎の突然死を遂げました。彼は、宮殿の庭園の池に浮かぶ小島にある父の墓の隣に、フリーメイソン式に埋葬されました。しかし、彼の墓には名前を示す墓標はありません。

結婚と子女

アウグストは2度結婚しています。最初の妻はメクレンブルク＝シュヴェリーン大公フリードリヒ・フランツ1世の娘ルイーゼ・シャルロッテで、彼女との間に娘ルイーゼをもうけました。ルイーゼは後にザクセン＝コーブルク＝ザールフェルト公エルンスト1世と結婚しましたが、後に離婚しました。アウグストはルイーゼ・シャルロッテの死後、ヘッセン選帝侯ヴィルヘルム1世の娘カロリーネ・アマーリエと再婚しましたが、子供は生まれませんでした。

エミール・レオポルト・アウグストは、激動の時代を生きた、複雑で魅力的な人物でした。彼の生涯は、当時の政治、文化、社会の状況を反映しており、今もなお人々の関心を引きつけています。

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