アウグスト・フォン・ロートムント

アウグスト・フォン・ロートムント

アウグスト・フォン・ロートムント（August von Rothmund, 1830年8月1日 - 1906年10月27日）は、19世紀のドイツを代表する医師であり、特に眼科学の分野で顕著な業績を残しました。

生涯と業績

ロートムントは1830年、バイエルン州のフォルカッハで生まれました。父は外科医のフランツ・クリストフ・フォン・ロートムントであり、医学一家に育ちました。

ミュンヘン大学で医学を修めた後、1853年に医学博士号を取得。その後、チェコやオーストリアへの留学を経て、1854年から1900年までミュンヘン大学病院に勤務しました。この間、眼科医として多くの患者を治療し、研究にも精力的に取り組みました。

ロートムントの最も重要な業績の一つとして、1863年に発表した眼皮膚白皮症I型（現在ではロスムンド・トムソン症候群として知られています）に関する研究が挙げられます。この研究は、常染色体劣性遺伝病の解明に大きく貢献し、後の医学研究に多大な影響を与えました。イギリスの医学者、マシュー・シドニー・トムソンによって、この症候群が確立され、ロスムンド・トムソン症候群と名付けられました。

日本との繋がり

ロートムントは、日本の眼科学の発展にも間接的ながら貢献しました。日本の眼科学の権威である井上豊太郎は、ドイツ留学中にロートムントに師事し、その教えを受けました。帰国後、井上はロートムントの処方箋に基づき目薬を処方しました。この目薬は、信天堂山田安民薬房（現在のロート製薬）によって「ロート目薬」として1909年に発売され、日本で広く親しまれるようになりました。

1931年に発明された両口式点眼瓶は、ロート目薬の知名度を飛躍的に向上させ、信天堂山田安民薬房は1949年に株式会社化し、ロート製薬となりました。現在では、ロート製薬は日本を代表する製薬会社の一つとして知られています。

ロート製薬の社名「ロート」は、ロートムントの名前「Rothmund」に由来するものと思われがちですが、実際には日本語のローマ字表記（外務省ヘボン式）である「ROHTO」に由来します。

参考文献・外部リンク

August von Rothmund (Who Named It)
ロート製薬

アウグスト・フォン・ロートムントは、医学、特に眼科学の分野において重要な足跡を残した人物として、その名が記憶されるべきでしょう。

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