アウストラル航空2553便墜落事故

アウストラル航空2553便墜落事故の詳細

アウストラル航空2553便墜落事故は、1997年10月10日にウルグアイのヌエボ・ベルリンで発生した悲劇的な航空事故です。この事故では、ポサーダスからブエノスアイレスに向かっていたアウストラル航空の定期便が墜落し、搭乗していた74名全員が亡くなるという痛ましい結果を招きました。

事故の発生

事故当日、2553便は20時20分にポサーダスを離陸しました。しかし、フライト中に天候が急変し、機長は嵐を避けるためにフライ・ベントスにダイバートすることを決めました。当初の計画では順調に進むはずでしたが、フライトデータレコーダーによると、進路を変更した直後に速度計に異常が見られました。この異常はピトー管が凍結し、そこからの空気流入が妨げられたために発生していました。実際の飛行速度は低下していなかったものの、パイロットはこの異常を推力の低下と誤認し、徐々に推力を増加させようと試みました。

推力を増やしても改善が見られなかったため、パイロットはエゼイザ空港の管制官に低高度への降下を要請しましたが、返答はありませんでした。機長はさらに高度を下げる決断をし、35,000フィートから31,700フィートへの降下を開始しました。降下中も速度計は異常な値を示しており、機長はこの状況を速度計の異常と判断しました。

高度維持の誤判断

その後、機長は副操縦士に対して減速するよう指示しましたが、副操縦士は誤って高度を維持し、速度を下げるためにスラットを展開することを選択しました。この時点で、対気速度はVNE（最大速度）近くに達しており、スラットの限界速度を大きく超えていました。その結果、スラットの一部が空気力学的な力によって主翼から引き千切られるという事態が発生しました。

スラットの喪失によって機体全体の気流が非対称になり、操縦不能に陥りました。そして22時10分に、2553便はウルグアイ川沿いの沼地にほぼ垂直に墜落しました。墜落時の速度は時速1,200kmを超えていたと推測されています。

調査結果

その後、アルゼンチン空軍とウルグアイ空軍による調査が行われました。調査の結果、高度15,000フィートで雲中に入った際にピトー管が凍結したことが原因であることが判明しました。また、フライトデータレコーダーのデータ解析によると、急降下中にピトー管の凍結が解け、その際に対気速度が300kmから800kmに急増したことが記録されていました。

この事故は、航空機の運航中に発生するさまざまな気象条件の影響と、パイロットの判断に対する重要な教訓を与えるものとなりました。

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