アウトストラーダ (ポーランド)

ポーランドの高速道路：アウトストラーダとドロガ・エクスプレスオヴァ

ポーランドには、高速道路であるアウトストラーダ（Autostrada）と、準高速道路であるドロガ・エクスプレスオヴァ（Droga ekspresowa、通称エクスプレスフカEkspresówka）の2種類の道路が存在します。本稿では、これら2種類の道路について、概要から詳細な情報までを包括的に解説します。

概要

アウトストラーダは、ポーランドの主要都市間や周辺諸国を結ぶ役割を担う高速道路です。一方、エクスプレスフカは、アウトストラーダの支線としての役割を果たしています。原則として、これらの道路は通行無料ですが、一部区間では有料となっています。

ポーランドでは、2種類の高速道路を合わせて25路線の整備計画が進められています。特に、2012年6月に開催されたUEFA欧州選手権2012に向けて、主要3路線の建設が急ピッチで進められました。2012年末までに、グダンスク、ポズナン、ヴロツワフ、ウッチ、ワルシャワ、クラクフ、カトヴィツェ、シュチェチンの国内主要8都市がアウトストラーダで結ばれる予定でした。

法的規定

ポーランドの公道法では、アウトストラーダとエクスプレスフカについて、以下のように規定しています。

アウトストラーダ（Autostrada、高速道路）

自動車専用道路であり、片側2車線以上を有する。
他のすべての陸上・水上通路と立体交差する。
一般道路からの出入りが制限されている。
原則として、法定最高速度は140km/h。

エクスプレスフカ（Droga ekspresowa（Ekspresówka）、準高速道路）

自動車専用道路であり、片側1車線または2車線を有する。
他の公道との平面交差が許容されている点を除き、すべての陸上・水上通路と立体交差する。
一般道路からの出入りが制限されている。
法定最高速度は原則として120km/h。

建設計画

現在建設中、または計画中の路線は、1990年代後半に策定された建設計画を基にしています。ルートや距離などで修正はありましたが、おおむね計画に従って建設が進められています。2004年には、2種類の高速道路の計画総延長を7,200kmとする閣議決定がなされ、2009年には7,300kmに拡大されました。

ポーランドがEUに加盟して以降、EU結束基金や開発基金からの多額の援助を受け、高速道路網、鉄道網、港湾設備などの物流インフラストラクチャー整備が進められています。アウトストラーダの急速な整備も、これらの資金援助が原動力となっています。

標識

アウトストラーダとエクスプレスフカは、それぞれ異なる標識で識別されます。

アウトストラーダ: 青地に白色の2車線が跨道橋と立体交差している標識。
エクスプレスフカ: 青地に白色の自動車が描かれている標識。

路線番号は、どちらの道路も赤地に白色の文字で表示されます。アウトストラーダには「A」、エクスプレスフカには「S」が数字の先頭に付けられます。道路標識の色も異なり、アウトストラーダは青地白文字、エクスプレスフカは緑地白文字で表示されます。

制限速度

アウトストラーダとエクスプレスフカの最高速度は、それぞれ以下の通りです。

アウトストラーダ：140km/h
エクスプレスフカ：120km/h

管理

原則として、運輸・建設・水産省管理下の国道・高速道路総局（GDDKiA）が管理を行いますが、一部路線は民間企業が管理しています。

料金

エクスプレスフカは全区間通行無料です。アウトストラーダも原則無料ですが、A1、A2、A4の一部区間は有料となっています。

料金徴収方法

料金の徴収方法には、以下の2種類があります。

1. オープン・タイプ: 高速道路上に設置された料金所で通行料を徴収する方法。コストは比較的安価ですが、料金所で一旦停止する必要があるため、交通の流れが悪くなることがあります。
2. クローズ・タイプ: 高速道路に接続する道路上に設置された料金所で徴収する方法。高速道路に入る際にチケットを受け取り、走行距離に応じて料金を支払います。オープン・タイプよりもコストがかかります。

電子課金システム「viaTOLL」

2011年7月1日より、電子課金システム「viaTOLL」が導入されました。最大積載量3.5トンを超える自動車またはバスは、viaTOLLに事前登録し、車載器を設置することが義務付けられています。未登録の場合、罰金が課せられます。

設計

アウトストラーダとエクスプレスフカは、設計上いくつかの違いがあります。エクスプレスフカは、アウトストラーダと比較して、以下の点で異なります。

車線数（片側1車線も可）
インターチェンジの数
他の道路との平面交差の可否
最高速度
* 車線の幅

アウトストラーダは、他の高速道路・準高速道路ならびに主要幹線道路とインターチェンジやジャンクションで接続できます。インターチェンジ間の距離は、最低でも15km以上とされています。また、アウトストラーダには緊急通信装置の設置が義務付けられています。

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