アウトバーン 3 (スイス)

スイスの高速道路 A3：概要と詳細

アウトバーン A3（ドイツ語: Autobahn A3、フランス語: Autoroute A3）は、スイスを南北に結ぶ重要な高速道路です。バーゼルからザルガンスまで、総延長約180kmに及ぶこの路線は、スイスの交通網において欠かせない役割を果たしています。

ルートと特徴

A3は、フランスとの国境に近いバーゼルを起点とし、チューリッヒを経由して南西方向へと斜めに走ります。そのルートは、以下の特徴的な区間を含んでいます。

バーゼル周辺： バーゼルの国境地帯から始まり、フランスのオートルート A35に接続します。バーゼル＝ヴィーゼジャンクションからアウクストジャンクションまではA2と重複し、その後A3はラインフェルデンやフリックへと向かいます。
ベツベルクトンネル： 全長3750mのベツベルクトンネルを通過します。
A1との重複区間： ビルアージャンクションからリンマタール交差点まではA1と重複します。
チューリッヒ方面： ウルドルフやチューリッヒへと伸びていき、リンマタール交差点からチューリッヒ＝西ジャンクションまでは、ユトリベルクトンネルが開通して以来「西バイパス」と呼ばれています。
* チューリッヒ湖とヴァレン湖： チューリッヒ湖の左岸、さらにヴァレン湖に沿って走り、終点のメルスでA13に接続します。

A3は、A1と合わせればバーゼルからチューリッヒを結ぶ上で、A13と合わせればチューリッヒからクールを結ぶ上で重要な路線です。

特殊な区間：ヴェーセン-ムルク

ヴァレン湖沿いのヴェーセンからムルクの区間は、その歴史的な背景から特殊な区間となっています。1964年、この区間に6つのトンネルとともにN3が基幹道路として開通しました。これらのトンネルは、元々1859年に開通したツィーゲルブリュッケ-ザルガンス鉄道のヴェーセンからザルガンスまでの旧ルートにあったトンネルを高速道路に作り替えたものでした。1960年にケレンツァーベルグトンネルが完成し、鉄道ルートが変更されたため、使われなくなったトンネルを再利用したのです。

ただし、ヴェーセンからヴァレンシュタットの区間が4車線であったのに対し、トンネル区間は2車線となってしまいました。そのため、1986年にはムルク・ザルガンス方面の車線のために一方通行のケレンツァーベルグトンネル（5,760m）が建設されました。これにより、従来の6つのトンネルもヴェーセン・チューリッヒ方面の車線用に一方通行のトンネルとして転換されました。

チューリッヒ西バイパス

2009年5月4日、ビルメンスドルフインターチェンジからチューリッヒ＝南ジャンクション間（いわゆる「西バイパス」の最終区間）が開通し、A3はバーゼルからザルガンスまでが完全に結ばれるようになりました。

この開通に伴い、2つの既存路線のナンバリングが変更されました。リンマタール交差点からチューリッヒ市内のハルトトゥルムを結ぶ路線は「A3」から現在の「A1H」に、ヴィーディコンからチューリッヒ＝南ジャンクションを結ぶ路線は新しくA3Wとしてナンバリングされました。

また、このバイパスの開通に合わせて、旧バイパス沿線の住宅地域に対する対策も実施されました。上記2つの既存路線は都心部に接続する交通手段として利用されていましたが、新バイパスの開通2日前には各方面1車線に制限されていました。これにより、翌月から2010年の夏にかけて、各地区の大通りや基幹道路を結ぶ従来の仮設軸路線は解体されました。

A3は、スイスの主要都市を結び、国際的な交通を支える大動脈として、今日も多くの車両が行き交っています。

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