アウト・オブ・ブルー (映画)

アウト・オブ・ブルーの概要

『アウト・オブ・ブルー』は1980年に制作されたカナダ映画で、ニール・ヤングのアルバム「RUST NEVER SLEEPS」に収録されている「OUT OF THE BLUE」を基にしています。作品は、熱心なパンクファンの少女・シービーが崩壊した家庭の影響に苦しむ姿を描き、その悲劇的なストーリーは観る者に強い印象を与えます。映画は、デニス・ホッパーの監督業にとって三作目の作品で、彼自身がシービーの父ドン役を演じています。ヒロインのシービー役には、リンダ・マンズが抜擢され、彼女のパフォーマンスは映画の中で光彩を放っています。

映画のストーリー

物語の中心にいるシービー（愛称：シンディ）は、15歳のパンク好きの少女です。彼女がパンクに傾倒したのは、かつての彼女の父、ドンによる影響です。しかし、ドンは服役中で、かつては大型トレーラーの運転手として働いていましたが、アルコール依存症に苦しんでいました。彼は飲酒運転をした結果、子供たちを乗せたスクールバスに追突し、悲劇的な事故を引き起こしました。

シービーの母キャシーはウェイトレスとして働きながら家計を支えていますが、彼女もまた麻薬中毒に苦しんでいます。夫婦関係は崩壊し、家庭は完全に崩れ去っています。ドンが刑期を終え帰宅すると、状況はさらに悪化しました。彼は社会からの偏見を受け、再就職も困難な状態です。キャシーとの関係も最悪となり、やがてドンは自暴自棄になり、シービーに対して許されない行為に手を染めようとします。この未遂がきっかけとなり、シービーはドンとの間に隠された過去の暗い記憶と向き合うことになります。

撮影の秘話と背景

当初、『アウト・オブ・ブルー』は「シンディ・バーンズの場合」というタイトルで、カナダのテレビ映画として企画されていました。しかし、撮影が始まったときに監督を務めていたレナード・ヤキールが思うように進行できなかったことから、デニス・ホッパーは監督職を引き継ぐことを決意しました。彼はストーリーラインやキャストに手を加え、従来のハッピーエンドから一変させ、より深刻でダークな結末に変更しました。

ホッパーは短期間で撮影を終了させ、効率的な編集を行ったことで、映画製作のスピード記録を樹立しました。また、シービーのキャラクター設定をリファインし、彼女の部屋に楽器を置くことで、彼女の音楽への情熱も映し出されています。映画のクオリティを高めるために、ホッパーは自身のビジョンを強く反映させました。

公開とその後

『アウト・オブ・ブルー』は、第32回カンヌ国際映画祭に出品され、その後アメリカでは1982年に公開されましたが、日本では劇場公開がなされず、1986年にVHSおよびベータマックスとしてリリースされました。また、2001年にはデラックス版DVDが発売されており、作品にはホッパーの独自の視点が強く込められています。特にデニス・ホッパーの人生やキャリアにおける重要な一歩となったこの作品は、彼の映画監督としての才能を証明するものとなりました。

参照文献

この映画に関する詳細な情報や背景については、様々な書籍や資料に記されています。特に、デニス・ホッパーの伝記や映画に関するインタビュー等を通じて、彼の制作意図や映画に対する情熱を感じ取ることができるでしょう。

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