アウト・フォー・ジャスティス

1991年に公開された映画『アウト・フォー・ジャスティス』（原題: Out For Justice）は、スティーヴン・セガールが主演を務めるハードボイルドな刑事アクション作品です。監督はジョン・フリンが手掛け、ニューヨークのブルックリンを舞台に、復讐に燃える一人の刑事の姿が描かれます。

本作の最も際立った特徴として挙げられるのは、その容赦なく生々しい暴力描写です。作品に盛り込まれた過激な表現は、製作国であるアメリカ合衆国において、公開時に最も厳格なレイティングであるNC-17指定（17歳未満は視聴不可、日本のR18+指定に相当）を受けるほどでした。この厳しい指定を回避するため、劇場公開版では一部の暴力シーンがカットされて上映されました。例えば、イギリスでの公開に際しては、特に刺激が強いと判断された暴力描写がおよそ54秒間にわたって削除されています。

しかしながら、作品の完全な姿を求める声に応える形で、その後のDVDやBlu-rayといったソフト化にあたっては、劇場公開時にカットされたシーンを含んだノーカット版がリリースされました。これにより、制作者が意図した本来のバイオレンス描写を、家庭で鑑賞することが可能になりました。

物語の始まりは、主人公であるニューヨーク市警察の刑事ジーノの相棒、ボビーが、白昼堂々、家族の目の前で惨殺されるという衝撃的な事件です。犯人は、ジーノとボビーの幼馴染であり、街で悪名を轟かせているリッチー・マダーノでした。長年の相棒を目の前で、しかも非常に残忍な方法で失ったジーノは、深い悲しみと共に激しい怒りと復讐心を燃え上がらせます。

法の手続きに頼るのではなく、自らの手で相棒の仇を討つことを決意したジーノは、ブルックリンの街中を文字通り執念深く捜索し始めます。かつての友人でありながら、今や凶悪な犯罪者となったリッチーを追い詰めるため、ジーノは自身の培ってきた格闘術や捜査能力を駆使し、危険な裏社会へと深く足を踏み入れていきます。彼の復讐劇は、街全体を巻き込みながら、壮絶な結末へと向かいます。

スタッフ陣には、製作としてアーノルド・コペルソンに加え、主演のスティーヴン・セガール自身も名を連ねています。監督のジョン・フリンは、アクション映画に定評のある人物です。脚本はデヴィッド・リー・ヘンリーが担当し、音楽はデヴィッド・マイケル・フランク、撮影はリック・ウェイトがそれぞれ務めました。

主演のスティーヴン・セガールは、鍛え上げられた肉体と合気道をベースにした独特のアクションスタイルで、相棒の復讐に燃える寡黙ながらも内に秘めた怒りを表現する刑事を熱演しています。『アウト・フォー・ジャスティス』は、セガールのアクションスターとしての魅力を堪能できる一作であり、特にその徹底したバイオレンス描写は、彼のフィルモグラフィの中でも特に印象的な作品として記憶されています。復讐という普遍的なテーマを、セガールならではのハードなアクションと容赦ない暴力で描ききった作品と言えるでしょう。

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