アエリアル・エクスペリメント・アソシエーション

アエリアル・エクスペリメント・アソシエーションの歴史

アエリアル・エクスペリメント・アソシエーション（AEA）は、1907年9月30日、グラハム・ベルの指導の下、カナダに設立された航空研究グループです。AEAは、北アメリカにおいて公開された飛行実験を行い、その成果は航空の発展に寄与しました。

この協会の設立にはいくつかの重要な人物が関わっています。トロント大学を卒業したエンジニアであり、グラハム・ベルの秘書の息子だったジョン・マカーディと、その友人であるフレデリック・ボールドウィンが中心となり、ベルとの対話の中で航空に関するアイデアを提案しました。この際、ベルの妻が協会の設立資金として35,000ドルを提供することを提案したため、AEAは成立に至ったのです。

設立後、AEAはオートバイデザイナーでガソリンエンジンの専門家であるグレン・カーチスを雇い、その技術知識を活かしました。しかし、カーチスがライト兄弟の下を訪れた際、協力を求めるも彼らからの協力は得られませんでした。そのため、AEAは独自に航空機の開発と飛行実験を進めることになります。

政府の関心を引く成果を上げるため、AEAは公式のオブザーバーとしてトーマス・セルフリッジを任命しました。この支援もあり、1908年3月12日にはレッド・ウィング号が飛行に成功します。この際、フレデリック・ボールドウィンはカナダ人として初めての成功を収めました。

その後も、AEAは様々な機体を開発しました。ホワイト・ウィング号は新たに昇降舵を装備し、ジューン・バグ号では公開の場で1kmを超える飛行を達成しましたが、実はこの記録はライト兄弟が1904年に既に達成していたものです。さらに、1908年に製作されたシルバー・ダート号は、1909年2月23日にマカーディの操縦で氷結したブラスドール湖から飛行し、カナダにおける最初の航空機の飛行となりました。この時も、ライト兄弟による先例が存在していました。

1909年3月10日、ジョン・マカーディは周回飛行で32kmを超える距離を記録しましたが、これもまたライト兄弟による1905年の業績が影を落としています。同年8月2日、シルバー・ダート号は同乗者を乗せて飛行し、この協会の活動はさらに広がりを見せました。

協会の活動は続き、ニューヨークのハモンズ・ポートでカーチスは水上機の開発を進め、これは1910年3月にフランスのアンリ・ファーブルによるファーブル水上機の飛行に先行しました。

しかし、1909年3月31日、アエリアル・エクスペリメント・アソシエーションは解散することになりました。設立から約2年の活動期間で、数多くの飛行実験を行ったこの団体は、カナダにおける航空の歴史に名を刻んでいます。

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