アクセラレータープログラム

アクセラレータープログラムとは

アクセラレータープログラム（Accelerator Program, AP）とは、主に大企業が、革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップ企業に対し、協業や投資を目的として実施するプログラムです。大企業は、このプログラムを通じて、自社のリソースを提供することで、新規事業の創出や既存事業のアップデートを目指します。このプログラムは、単なる下請け関係ではなく、スタートアップ企業の成長を加速させることを目的としています。

インキュベーションプログラムとの違い

アクセラレータープログラムと混同されやすいものに、インキュベーションプログラムがあります。インキュベーションプログラムは、起業前のアイデア段階からサービスを創出し、起業を促すことを目的とするのに対し、アクセラレータープログラムは、既にプロトタイプやサービスを持つ既存企業の成長を支援することを主な目的としています。したがって、アクセラレータープログラムは、プロトタイプが完成しているスタートアップ企業を対象とすることが多いです。

プログラムの流れ

アクセラレータープログラムの一般的な流れは以下の通りです。

1. 説明会: プログラムの概要や目的、参加条件などを説明する説明会が開催されます。
2. 募集開始: スタートアップ企業向けの募集が開始されます。
3. 選考: 協業の可能性が高いスタートアップ企業が選定されます。
4. スモールテスト: 選定されたスタートアップ企業と、小規模なテスト運用を行います。
5. デモデイ・成果発表会: テスト運用で得られた成果を発表する場が設けられます。
6. 本格協業: デモデイの結果を受け、より深い協業を開始します。

プログラムの種類

アクセラレータープログラムは、テーマ性によって大きく2つに分類できます。

バーティカル（Vertical）なプログラム: 特定の業界や分野に特化したプログラムです。例えば、ヘルスケア分野に特化したプログラムや、特定の事業会社との協業をテーマにしたプログラムなどがあります。
ジオグラフィカル（Geographical）なプログラム: 特定の地域に特化したプログラムです。例えば、特定の都市や地域に拠点を置くスタートアップを対象としたプログラムなどがあります。

プログラムの目的

アクセラレータープログラムの主な目的は、スタートアップ企業の成長速度を加速させることです。プログラムによっては、少額の出資が行われる場合もありますが、出資はあくまで成長を支援するための手段の一つであり、必ずしもすべてのプログラムで出資が行われるわけではありません。特に、事業会社との協業をテーマとするプログラムでは、出資がセットになっていないものも多く見られます。これは、出資よりも協業による事業シナジーを重視するためです。

運営企業

アクセラレータープログラムは、大企業が自社単独で運営する場合もありますが、多くは運営を専門とする企業と協業して運営されます。これらの運営企業は、日本の起業率向上をビジョンに掲げていることが多いです。

ベンチャーキャピタル: 大手企業と協業することで、投資判断の一環としてプログラムを運営しています。シードアクセラレーターとして活動する場合もあります。
事業会社: オープンイノベーションによる新規事業創出や投資を目的に運営しています。CSR活動の一環として実施する場合もあります。
コンサルティングファーム: 新規事業戦略策定の延長線上のオープンイノベーション施策として、プログラムの設計・運営を担います。

主な運営企業例

ベンチャーキャピタル
Creww株式会社
アーキタイプ株式会社
株式会社ゼロワンブースター
techstars
500startups
株式会社サムライインキュベート

事業会社
QUANTUM
KDDI株式会社
住友商事株式会社（HAX Tokyo）
日本アイ・ビー・エム
eiicon company（パーソルイノベーション株式会社）

コンサルティングファーム
デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社
ReGACY Innovation Group株式会社

海外のプログラム例

Agorize
Disney Accelerator (techstars)
German Accelerator
Nike+ Accelerator
Plug and Play
SEPHORA STANDS
* WiL

まとめ

アクセラレータープログラムは、大企業とスタートアップの双方にとって、革新的な事業を創出するための重要な手段となっています。プログラムに参加することで、スタートアップは成長を加速させ、大企業は新たなビジネスチャンスを得ることができます。今後も、アクセラレータープログラムは、オープンイノベーションを推進する上で重要な役割を果たすと考えられます。

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