アクターズ・スタジオ・インタビュー

アクターズ・スタジオ・インタビュー：名優たちの素顔と演技論に迫る

1994年、アメリカのケーブルテレビ局Bravoで放送が開始された『アクターズ・スタジオ・インタビュー（Inside the Actors Studio）』は、俳優や映画監督のインタビュー番組として世界的に高い評価を得ています。この番組の最大の特徴は、単なる著名人のトーク番組ではない点にあります。

番組の司会を務めるのは、名門演劇学校「アクターズ・スタジオ」の副学長であり、演技指導や演出家としても活躍するジェームズ・リプトン氏です。毎回、俳優や監督といったゲストを迎え、アクターズ・スタジオの生徒たちの前でインタビューを行います。

インタビューの内容は、演技や演出に関する高度な理論や技術、俳優や監督としての哲学、そして人生観といった多岐に渡り、非常に深く掘り下げられています。そのため、通常はトーク番組に出演しないような著名人たちも、この番組には積極的に参加しています。

リプトン氏は、インタビューに臨むにあたり、ゲストの出演作品を全て鑑賞するだけでなく、家族や関係者への綿密な取材も行うことで知られています。その徹底ぶりは、ゲストを驚かせることも少なくありません。

番組の終盤では、フランスのテレビ司会者ベルナール・ピヴォーが考案した「10の質問」にゲストが答えるという恒例コーナーがあります。この10の質問は、ゲストのパーソナルな部分に迫る、深く考えさせる内容となっています。

10の質問の例：

好きな言葉は？
嫌いな言葉は？
創造性、精神性、感情を高揚させるものは？
何にうんざりする？
好きな音は？
嫌いな音は？
好きな悪態は？
今の職業以外でやってみたい職業は？
絶対にやりたくない職業は？
天国で神にどんな言葉を聞きたい？


これらの質問を通して、ゲストの個性や考え方がより鮮明に浮かび上がってきます。また、番組ではゲストの出身地やこれまでの作品、両親のこと、タトゥーなど、多様な話題も取り上げられ、ゲストの人となりを知る上で貴重な情報が得られます。

日本での放送

日本では、NHK BSプレミアムやNHK総合テレビジョンで「（出演者名）自らを語る」というタイトルで放送され、高い人気を博しました。特に人気スターの回は何度も再放送されるほどでした。その後、スターチャンネルやLaLa TVでも放送されました。

シーズン17からは、日本での放送もハイビジョン(HD)化され、より高画質で番組を楽しめるようになりました。しかし、2013年にはNHKでの放送が終了。最後の放送は、ブラッドリー・クーパーが出演した回でした。

番組の音楽と収録場所

番組のテーマ音楽は、映画監督デヴィッド・リンチの作品で知られる作曲家アンジェロ・バダラメンティが担当。落ち着いた雰囲気の音楽が、番組全体のトーンをより引き立てています。収録場所は、ニューヨークの「マイケル・シンメル芸術センター」で行われます。

類似番組

『アクターズ・スタジオ・インタビュー』と同様に、著名人に焦点を当てたインタビュー番組は、世界各国で制作されています。しかし、その深みと質の高さにおいて、『アクターズ・スタジオ・インタビュー』は群を抜いています。ゲストの人となり、演技への情熱、そして人生観といった多角的な視点から迫るインタビューは、多くの視聴者を魅了し続けています。

番組で取り上げられるテーマは多岐に渡り、ゲストの個性やキャリア、人生哲学といった内面に深く踏み込みます。単なる宣伝番組ではなく、真摯な対話を通して、視聴者に深い感動と学びを与える番組として、その価値は今後も色褪せることはないでしょう。

もう一度検索