アクハイヤー

アクハイヤーとは

アクハイヤーは、「acquisition」と「hiring」という英語の合成語であり、通常「Acqui-hiring」や「Acq-hiring」とも書かれます。日本では「アクハイヤー」という表現が一般的で、「人材獲得目的の買収」とも呼ばれるこの手法は、企業が他の企業を買収すると同時に、その企業の従業員を雇用することを主な目的としています。この新しいアプローチは、買収された企業の製品やサービスの権利を得るためではなく、人材を確保するために用いられます。アクハイヤーという言葉の起源は、2005年5月にベン・ジマーがブログで使用したことまで遡ります。

アクハイヤーの手法

アクハイヤーによる人材獲得は、大企業のブランドと採用プロセスを融合させることで、従業員にとって魅力的な出口戦略を提供します。これにより、企業は高度なスキルを持つ人材を迅速に獲得できる利点があります。しかし、リスクが全くないわけではありません。特に、企業文化や新しい環境に馴染めなかったり、他の選択肢を持つ従業員は、他社に転職する可能性があり、優秀な人材を逃してしまうリスクがあります。

米国IT大手におけるアクハイヤーの実例

2010年代初頭には、ベンチャーキャピタルが資金提供するテクノロジー分野の新興企業が急増する中、競争の激しさから、企業が優れた人材を確保するためにアクハイヤーを頻繁に用いるようになりました。特に、フェイスブックは2013年3月までの5四半期にわたり12件の人材買収を実施し、その先駆者として位置づけられました。例えば、フェイスブックが2009年に買収したFriendFeedには、高度な専門知識を持つ元グーグル社員が数多く参加しました。ツイッターやヤフー、グーグルなどもアクハイヤーを積極的に活用する企業として知られています。

被買収企業の製品・サービスの閉鎖

アクハイヤーを行う企業は、通常、買収した企業の製品やサービスには興味を示さない傾向があります。そのため、買収後には多くの場合、買収された企業のプロジェクトは続行されず、迅速に終了させることが一般的です。例えば、ファイル共有サービスのDrop.ioは2010年にフェイスブックに買収された後すぐに閉鎖され、FriendFeedも2015年までユーザーを取り込みながらほとんど活動しない状態に置かれました。また、シスコが2009年にFlip Video社を買収した後、その売上が好調にもかかわらず、2年後に子会社を閉鎖した事例もあります。この記事では、企業が優れた技術を確保するために手を伸ばしている一方で、従業員やそのプロジェクト・サービスが犠牲となる様子が描かれています。

まとめ

アクハイヤーは、企業にとって有力な人材獲得手法ではありますが、企業文化や従業員の流出リスク、買収後のサービスの閉鎖など、多くの課題因子が存在します。今後のビジネスシーンにおいて、人材獲得の重要性は高まる一方で、実行の際には慎重なアプローチが求められています。

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