アグノスティック・フロント

アグノスティック・フロント (Agnostic Front)

アグノスティック・フロントは、1980年に結成されたアメリカ合衆国ニューヨーク出身のハードコア・パンクバンドです。彼らは、1980年代の北米ハードコアシーンを牽引し、特にニューヨーク・ハードコアの草創期において、そのスタイル確立に大きく貢献しました。一度解散しましたが、1997年に再結成を果たし、現在も精力的に活動を続けています。

歴史

1980年、ギタリストのヴィニー・スティグマを中心にバンドが結成されました。1983年には、EP『United Blood』でデビューを飾り、その名をハードコアシーンに轟かせます。翌1984年には、ファースト・アルバム『ヴィクティム・イン・ペイン』をリリースし、後のニューヨーク・ハードコアと呼ばれる音楽スタイルを確立しました。このアルバムは、彼らの音楽的アイデンティティを決定づける重要な作品となりました。

1986年にセカンド・アルバム『Cause for Alarm』、1987年にサード・アルバム『Liberty and Justice for...』を発表後、ボーカリストのロジャー・ミレットがドラッグ密売で逮捕され、バンドは一時活動停止を余儀なくされます。しかし、ロジャーの釈放後、1992年に活動を再開し、獄中で書き溜めた楽曲を収録した4枚目のアルバム『One Voice』をリリース。しかし、このアルバムを最後にバンドは解散してしまいます。

1996年、解散後も音楽への情熱を絶やさなかったミレットとスティグマは、パンク系レーベル「エピタフ・レコード」との契約に成功。新たなメンバーを迎え入れ、バンドを再編し、翌1997年にアグノスティック・フロントは正式に再始動を果たします。

1998年には、6年ぶりのアルバム『サムシングス・ガッタ・ギヴ』を発表。その後も、『ライオット・ライオット・アップスタート』(1999年)、『デッド・ヤッピーズ』(2001年)といったアルバムをリリースし、復活後の作品群はセールスを伸ばし、音楽業界からも高い評価を受けました。これにより、彼らはニューヨーク・ハードコアにおける重鎮としての地位を確立していきます。

その後、ヨーロッパの有力レーベル「ニュークリア・ブラスト」に移籍し、アルバム『Another Voice』(2004年)、『ウォリアーズ』(2007年)をリリース。2011年には、バンドにとって10枚目のアルバムとなる『My Life My Way』を発表し、精力的に作品の発表を続けています。

2015年には、アルバム『The American Dream Died』をリリース。2018年には、デビュー35周年を記念したワールドツアーを敢行し、5月には日本での公演も実現しました。

メンバー

現ラインナップ

ロジャー・ミレット (Roger Miret) - ボーカル (1982年– )
ヴィニー・スティグマ (Vinnie Stigma) - リードギター (1980年– )
クレイグ・シルバーマン (Craig Silverman) – リズムギター (2014年– )
マイク・ギャロ (Mike Gallo) - ベース (2000年– )
ダニー・ラマーニャ (Danny Lamagna) - ドラムス (2020年– )

ディスコグラフィー

スタジオ・アルバム

『ヴィクティム・イン・ペイン』 - Victim in Pain (1984年)
Cause for Alarm (1986年)
Liberty and Justice For... (1987年)
One Voice (1992年)
『サムシングス・ガッタ・ギヴ』 - Something's Gotta Give (1998年)
『ライオット・ライオット・アップスタート』 - Riot, Riot, Upstart (1999年)
『デッド・ヤッピーズ』 - Dead Yuppies (2001年)
Another Voice (2004年)
『ウォリアーズ』 - Warriors (2007年)
My Life My Way (2011年)
The American Dream Died (2015年)
* 『ゲット・ラウド!』 - Get Loud! (2019年)

アグノスティック・フロントは、その長いキャリアを通じて、ハードコア・パンクの精神を体現し続けています。彼らの音楽は、社会に対する怒りや不満、そして連帯のメッセージを力強く表現しており、多くの人々に影響を与え続けています。

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