アグレマン

アグレマンとは

アグレマン（フランス語: agrément）は、外交の分野で非常に重要な意味を持つ用語です。フランス語で「同意」や「承認」を意味し、国際関係を円滑に進めるための手続きの一環です。具体的には、特命全権大使や特命全権公使をはじめとする外交使節団の長が、接受国から正式な承認を得るために必要なプロセスを指します。このプロセスは、外交関係に関するウィーン条約によって規定されています。

アグレマンのプロセス

国家が新たに特命全権大使や公使を派遣する場合、事前に接受国、つまり相手国からアグレマンを取得する必要があります。この手続きが完了しない限り、外交官としての地位を得ることはできません。アグレマンの取得過程は、外交上の礼儀や友好関係を示す重要なステップとなります。

ただし、接受国はアグレマンの要請に対して理由を示さずに拒否する権利を持っています。この権利は、ウィーン条約の第4条において明記されています。また、すでに交付されたアグレマンも、ペルソナ・ノン・グラータの規定に従って、理由を示さずに取り消されることがあります。これにより、不適切と見なされた外交官は、任務を遂行できない状況に追い込まれることになります。

具体例と影響

例えば、アメリカ合衆国のジョージ・ケナンが駐ソ大使を務めていた際、ドイツでソ連とナチスに関する発言を行い、その結果としてアグレマンを取り消されるという事例があります。これにより、ケナンは職務を遂行できず、大使として解任されることになりました。このように、アグレマンは外交官の地位に重大な影響を及ぼす要素です。

また、2010年12月にはベネズエラが次期アメリカ合衆国大使に対してアグレマンを与えないという決定を下しました。アメリカはこれに対抗し、駐米ベネズエラ大使の外交ビザを取り消すことで応じる事態となりました。このように、アグレマンに関連する決定は国際関係の緊張を高める要因にもなり得るのです。

その他の関係者

アグレマンは、特命全権大使や公使に限らず、外交使節団に所属する陸軍、海軍、空軍の駐在官、いわゆる防衛駐在官の承認も必要です。これらの官職も外交使節団の一部として評価され、相手国からの承認が求められます。

アグレマンは国際社会における外交のルールを強化するための重要な手段であり、国家間の信頼関係や円滑なコミュニケーションに寄与しています。

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