アコースティック・ベース

アコースティック・ベースは、電気的な音量増幅を必要としない、いわゆる「アンプラグド」のベースの総称です。これは、エレクトリックベースの登場後に、それと区別するために生まれた言葉（レトロニム）です。

アコースティック・ベースには、大きく分けてアップライト型とギター型の2種類があります。

アップライト型

アップライト型は、床に立てて演奏するタイプの楽器で、ダブルベースやウッドベースなど、様々な呼び方があります。クラシック音楽やジャズ音楽などでよく用いられ、その豊かな低音と独特な響きが特徴です。

アコースティック・ベース・ギター

アコースティック・ベース・ギターは、コントラバスやエレクトリックベースと同じ低音域を担当する4～6弦の弦楽器です。座って抱えて演奏したり、ストラップを使って肩から下げて演奏したりします。基本的な構造はエレクトリックアコースティックギターと同様で、エレクトリックベースの演奏方法を活かすことができます。

日本では、一般的に「ベース」というとベースギターのことを指すため、「アコースティック・ベース」という場合は、このアコースティック・ベース・ギターを指すことが多いです。通称は「アコベ」です。

しかし、英語で「acoustic bass」というとコントラバスを指すのが一般的であり、日本でもその意味で使う人もいるため、混乱を招くことがあります。この点には注意が必要です。

1990年代にアメリカのMTVで放送されていた音楽番組『アンプラグド』では、ネイサン・イーストなどのアーティストがアコースティック・ベース・ギターを頻繁に使用し、その魅力を広く伝えました。

アコースティック・ベース・ギターは、多くの場合、アコースティックギターのボディを流用または小改造して製作されます。そのため、ベース音域を十分にカバーするにはボディの容積が不足しがちです。もし十分な容積を持たせようとすると、ギタロンのように後ろに膨らんだ形状にするか、コントラバスに近い大きさにする必要があり、結果として、生音は小さく、アコースティックギターとのアンサンブルでも十分に聞こえないことがあります。

そのため、アコースティック・ベース・ギターはピックアップの使用を前提として作られていることがほとんどです。ピックアップを使用することで、大音量での演奏や、エフェクターを用いた音作りも可能になります。

アコースティック・ベースの愛用者

アコースティック・ベースは、様々なジャンルの音楽で用いられています。以下は、代表的な愛用者の一部です。

櫻井哲夫
矢萩渉（安全地帯）
ジャコ・パストリアス
スティーブ・フォックス（ゴダイゴ）
ネイサン・イースト
ボブ・ボーグル（ベンチャーズ）
重廣誠（ソリスト）

関連項目

エレクトリック・アップライト・ベース

もう一度検索