アサーン

アサーン(Athearn)の歴史と製品：アメリカ鉄道模型界の老舗ブランド

アサーンは、1946年アメリカで創業した鉄道模型メーカーです。現在ではホライズン・ホビー傘下のブランドとして、世界中の鉄道模型ファンに親しまれています。アメリカでは「エイサーン」と呼ばれ、HOスケールを中心に、高品質で手頃な価格の製品で知られてきました。

創業からHOスケールへの進出

アサーンの始まりは、アーヴィン・エイサーンが自身の製作した精巧なOスケールレイアウトを売却したことに遡ります。予想をはるかに超える反響を受け、彼は本格的に鉄道模型の製造・販売に乗り出しました。1940年代には自宅で生産を行い、1946年には小売店を開業。1948年にはカリフォルニア州ホーソーンに工場を設立し、直流二線式のHOスケール鉄道模型市場へ進出しました。

99セントディーゼルと技術革新

アサーンは、驚異的な低価格で話題となった「99セントディーゼル」で知られるGlobe Modelsを買収。この無動力のダミー機関車は、市場に大きなインパクトを与えました。同時に、客車や貨車なども幅広く販売し、市場を拡大していきます。この頃から、アサーンは技術革新に積極的に取り組みます。「Hi-F」駆動機構は、輪ゴム状のベルトでモーター軸から動輪へ動力を伝える画期的なものでした。両軸モーターとフライホイールの採用により、全軸駆動と安定した走行を実現し、他社製品との差別化を図りました。

亜鉛ダイカストとプラスチックの融合

1960年代頃には、ボストン・アンド・メイン鉄道のP-4クラスパシフィック形蒸気機関車を発売。亜鉛ダイカスト製の動力部とプラスチック製車体の組み合わせは、大量生産に適した画期的な手法でした。当初は集電に課題がありましたが、後に改善され人気商品となりました。しかし、ウィルソンモーターの入手困難により販売終了となり、他のモーターへの再設計は行われませんでした。

多様な製品ラインナップ

アサーンの製品は、ばねとイコライザーを備えた精巧な台車を持つ貨車や、スケール通りの長さを持つ車両が特徴です。また、バッド社製の客車などを元に、運転しやすいように車体を短縮した「ショーティー」もラインナップに含まれていました。完成品とキットの両方を提供し、手頃な価格と入手性の良さから、HOスケールの代表的なブランドとして確固たる地位を築きました。

ホライズン・ホビー傘下へ

創業者アーヴィン・エイサーンの死去後も、アサーンは高品質な製品を続けました。しかし、2004年にホライズン・ホビーに買収され、カリフォルニア州コンプトンからカーソンへ工場を移転しました。2008年にはオーバーランド・モデルズから金型を買い取るなど、積極的な事業展開を続けました。

中国への生産移転とキット販売終了

2009年には、アメリカでの生産を中国に移転。コスト上昇への対応策として、同年10月にはキット製品「ブルーボックス」の販売を終了しました。これは、生産・人件費の高騰により、競争力のある価格での供給が困難になったためです。

現在の製品ラインナップ

現在、アサーンはホライズン・ホビー傘下で、HOスケールとNスケールの完成品機関車、自動車模型などを展開しています。HOスケールでは、「レディ・トゥ・ロールシリーズ」と高級路線の「ジェネシスシリーズ」があり、サウンド機能搭載のデジタルコマンドコントロール対応製品も存在します。Nスケールでも、一部機関車で同様の機能を持つ製品が販売されています。1/50スケールの自動車模型も人気を集めています。

アサーンの未来

長年にわたり鉄道模型ファンに愛されてきたアサーンは、時代とともに変化を遂げながら、現在も高品質な製品を世に送り出しています。歴史と技術革新、そして手頃な価格という三つの要素を融合させたアサーンの製品は、これからも鉄道模型愛好家にとって魅力的な存在であり続けるでしょう。

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