アシダカグモ科

アシダカグモ科の概要

アシダカグモ科に属するクモは、主に大型で目立つことから人々に知られ、時には恐れられることもあります。特に日本ではアシダカグモが広く認識されており、この種は特に注目を集めてきました。しかし、実際には医学的に危険な種は存在しません。

これらのクモは徘徊性であり、通常は網を張らず、巣穴も作らないことが多いですが、砂漠に生息する種の中には巣穴を掘るものもいます。多くの種は昼間は物陰に隠れ、夜間に活動して獲物を捕えます。やや扁平な体型は、こうした生息環境に適しています。彼らの獲物には小型脊椎動物や昆虫などが含まれ、特に大型の種はトカゲなども捕食することがあります。

名称について

アシダカグモ科のクモは、その姿が目立つため世界各国で様々な名前で呼ばれています。英語圏では「Giant Crab Spider」や「Huntsman Spider」といった名称があります。バナナとともに発見されたことから「Banana Spider」とも呼ばれます。アフリカ南部ではPalystes属の種が「Rain Spider」と名付けられ、降雨の際に人家に入り込む習性があるためです。

特徴

このクモ科の特徴として、中型から大型のサイズを持ち、非常にしっかりとした脚を持っています。体はやや扁平ですが、カニグモ科やヒトエグモ科のものほど顕著ではありません。歩脚の先には独特の膜構造があり、これがその運動能力を高めています。見た目には特に大きな斑紋の変化は少ないものの、ツユグモのように美しい色合いを持つ種も存在します。

生態について

アシダカグモ科のクモは徘徊性で、活発に動き回るわけではありませんが、大半が夜行性です。昼間は樹皮の隙間などに身を隠し、夜間は獲物を捕るために活発に動きます。また、草の間や樹上で生活する種もいます。狩りの際は主に待ち伏せをし、獲物が近づくのを待ちます。特にアシダカグモは家庭内でよく見られますが、森林の林床や洞穴に生息する種も多く、非常に多様な生息環境に適応しています。

ナミブ砂漠に生息するシロアシダカグモ属のクモは、全身が白い毛で覆われており、「ホワイトレディ」や「Dancing White Lady Spider」として知られています。この種は巣穴を掘り、夜に獲物を捕まえ、その際何らかの危険を感じると斜面を転がって逃げる独特の行動をします。

利害関係

アシダカグモ科のクモは、そのサイズと見た目からしばしば恐れられますが、実際には人間に対する危険はほとんどありません。顎には毒腺があり、噛まれた際には痛みを伴う可能性がありますが、致命的な影響を与えることはありません。むしろ、これらのクモはゴキブリなどの重要な害虫を捕食することで、人間にとって益虫と見なされる存在です。

分類

アシダカグモ科は、他のクモ科よりも系統関係が不明確ですが、エビグモ科やミヤマシボグモ科と系統的に関連していると考えられています。熱帯から暖温帯にかけて多数の種が知られており、特にアジアの山岳地帯では多様な種分化が見られます。日本には9属23種が確認されており、そのうち6属16種が確実とされています。

アシダカグモをはじめとするこれらのクモは、バナナの輸送中に発見されることも多く、その結果として世界中に分布していると考えられています。

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