アジアの嵐

『アジアの嵐』について

『アジアの嵐』(ロシア語: Потомок Чингисхана、英語: Storm over Asia)は、1928年に製作されたソビエト連邦のプロパガンダ映画であり、モノクロのサイレント映画です。この作品は、フセヴォロド・プドフキン監督による「革命三部作」の一部であり、前作『母』(1926年)および『聖ペテルブルクの最後』(1927年)に続く位置付けとして位置づけられています。

映画の概要

『アジアの嵐』は、壮大なストーリーと独特なビジュアルで知られ、観客に強い印象を与えました。この映画は、1928年度のキネマ旬報ベストテンで2位に選ばれるなど、評価を受けた作品です。また、スティーヴン・ジェイ・シュナイダーの著作『死ぬまでに観たい映画1001本』にも掲載され、その重要性が再確認されています。

ストーリー

物語は、猟師でありチンギス・カンの末裔であるバイールを中心に展開します。彼は、イギリス軍人の司令官ペトロフと関わりつつ、パルティザン部隊や様々な人々との交流を通じて、自己とアイデンティティを見つめ直していきます。映画内では「宗教は阿片なり」というマルクス主義の考えに基づき、ラマ僧は批判的に描かれており、これが作品の深いメッセージ性を強調しています。

キャスト

主役のバイールを演じたのは、シベリア出身の蒙古族の俳優ワレリ・インキジノフです。彼は1930年にフランスに亡命した後も活躍し、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の映画『モンパルナスの灯』などに出演しました。その他のキャストには、イギリス軍人の役を演じたL・テディンツェフや、毛皮商人のヘンリー・ヒューズを演じたヴィクトル・ツォッピなどがいます。 また、ペトロフの妻や娘も重要な役割を果たし、家庭の情景が描かれることで物語に深みを与えています。

受賞歴

この映画は、1952年のベルギー世界映画・美術博覧会において、映画史上のベストテンに選ばれるという名誉を獲得し、14位にランクインしました。

公開経緯

『アジアの嵐』は1928年に完成したのち、1949年にモスフィルムによってトーキー版が製作され、1950年に公開されました。さらに1964年には新版も完成し、再び観客の注目を集めました。

結論

『アジアの嵐』は、歴史的背景とともにその筋書きやキャストによる演技がいかに素晴らしいかを物語っている作品です。観る者に深い印象を残すこの映画は、ソビエト連邦の文化と思想を反映しており、映画史において重要な位置を占めています。

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