アジア太平洋放送連合

アジア太平洋放送連合 (ABU) について

アジア太平洋放送連合（Asia-Pacific Broadcasting Union、ABU）は、アジア太平洋地域における放送局や放送関連団体の連合体です。本部はマレーシアのクアラルンプールに位置し、世界放送連合（WBU）の一員として国際的な放送の発展を目指しています。

歴史的背景

ABUは1964年7月1日に「アジア放送連合」として設立されました。この設立は、1957年に日本放送協会（NHK）が主催したアジア放送会議を基に成り立っています。この会議は5回開催され、その結果が連合の誕生につながりました。初代会長にはNHKの前田義徳会長が就任しました。

1977年には、太平洋地域からの要望を受けて「アジア太平洋放送連合」という名称に改称されました。設立当初は日本の東京に本部が置かれていましたが、実質的な事務機能は出身国で行われていたため、1984年にマレーシアのクアラルンプールに本部が移転しました。この移転により、日本とマレーシアの放送機関が正式な常任理事機関となりました。

活動内容

ABUの主な業務には以下のようなものがあります：

• - ニュース素材の相互提供を行う「アジアビジョン」
• - 番組の共同制作
• - スポーツ中継の放映権調整
• - 放送技術や番組制作の技術交流

これらの活動により、加盟団体間のコミュニケーションが活発化し、放送の質と多様性が高まっています。

現会長と歴代会長

2021年現在の会長は、NHKの副会長である正籬聡氏です。歴代会長には、前田義徳氏のほか、オーストラリア放送委員会の元会長タルボット・ダクマントン氏や韓国放送公社の元社長金仁圭氏など、多彩なメンバーが名を連ねています。

会員構成

ABUは、現在55カ国以上から150を超える団体が加盟しています。正会員に関しては、設立当初は各国に1つの放送事業者が抱えられていましたが、1982年にはインドやパキスタンなどの要望に応じて、1カ国につき2つの放送事業者が認められるようになりました。これは、テレビとラジオが別々の機関で運営されている国向けの配慮です。

日本の加入状況

日本においては、テレビ朝日、フジテレビ、日本テレビ、テレビ東京などが準会員として名を連ねています。さらに、日本民間放送連盟も団体会員として加入しており、民放連を通じて関係を持っています。賛助会員には池上通信機やスカパーJSATなどが名を連ねるほか、NHK関連の多くの機関が参加しています。

まとめ

アジア太平洋放送連合は、地域内の放送機関間の協力と交流を促進する重要な組織です。その活動は放送の質を高め、情報の共有を活性化させる役割を果たしています。ABUは各国の文化を放送を通じて広めるために、今後も様々な取り組みを発展させていくでしょう。

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