アジア海賊対策地域協力協定

アジア海賊対策地域協力協定（ReCAAP）について

アジア海賊対策地域協力協定、通称ReCAAPは、東南アジアを中心に広がる海賊行為に対抗するための国際的な枠組みです。この協定は、特にマラッカ海峡における海賊被害の増加を受け、1990年代後半からその必要性が高まってきました。日本が主導となり、関係国の連携を深めることを目的として、2001年から協定の構築が始まりました。

歴史的背景

1990年代の終わりには、マラッカ海峡における海賊行為が頻発し、各国が対策を講じる必要に迫られました。この状況を受けて、日本を含むアジア地域の16カ国が共同で対策を講じるための多国間交渉を行い、2004年11月にアジア海賊対策地域協力協定が成立しました。この協定は2006年に発効し、海賊問題に関する情報共有や、各国の取り締まり力の向上を図ることを目指しています。

協定の構成国

ReCAAPの締約国は、フィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア、インド、スリランカ、バングラデシュ、中華人民共和国、大韓民国、日本の14カ国に加え、2009年以降はノルウェー、2010年にはオランダやデンマーク、2013年にはオーストラリア、2014年にアメリカ合衆国、2021年にはドイツが参加し、現在は21カ国に広がっています。

情報共有センターの役割

協定の中心的な機関として、情報共有センター(ISC)が2006年11月にシンガポールに設置されています。このセンターでは、協定参加国が海賊事件に関する情報を共有し、迅速な対応を図るためのシステムが整えられています。初代事務局長は、初回会議で選出された伊藤嘉章氏であり、以後、日本人がこの役職を務めていましたが、2022年にはインド出身のナタラジャン氏に交代しました。

拠出金と運営

ReCAAPの運営には、各国からの拠出金が重要です。2011年の時点では、シンガポールが約159万シンガポールドルを拠出し、これは全体の約60%に相当します。日本も約64万シンガポールドルを拠出しています。資金面での貢献は、協定の効率的な運営に寄与しています。

今後の展望

ReCAAPの取り組みは高く評価されており、アフリカのソマリア沖での海賊対策のための類似した協定の必要性についても議論が進められています。これにより、アジアだけでなく、他の地域でも国際的な海賊対策が強化される可能性があります。海賊行為の根絶には国際的な協力が必須であり、ReCAAPはそのモデルとなるべき存在とされています。

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