アジア経済研究所開発スクール

アジア経済研究所開発スクール (IDEAS) の概要

アジア経済研究所開発スクール（IDEAS）は、1990年に設立され、アジア経済研究所が運営する途上国の開発問題に特化した専門家を育成するための教育機関です。千葉県千葉市美浜区に位置し、修士課程に相当するカリキュラムを提供していますが、文部科学省の認定を受けていないため、正式な大学院ではありません。

カリキュラムについて

IDEASのカリキュラムは、経済学や統計学を中心に構成されており、授業は日本語と英語で行われています。日本人向けの授業は日本語で行われ、国際的な環境を持つクラスでは英語が使用されます。講師陣にはアジ研の研究者が多く含まれており、一部の科目は外部の大学教授が担当しています。歴史的には、研究所の建物が利用できなかった時期もあったが、幕張新都心に移転して以降、研究所との相互関係が強化されました。

入学資格と選考プロセス

入学には、日本人と外国人の枠が設けられています。日本人学生は、修了後に大学院への進学を前提としており、出願資格は4年制大学の卒業者です。選考は毎年6月に行われ、9月には新学期が始まります。かつては年齢制限がありましたが、現在は撤廃されています。外国人の入学対象者は、アジ研が指定した途上国から推薦された官僚や研究者で、35歳以下であれば参加可能です。授業は英語で行われ、日本語の能力は問われません。さらに、外国人学生は学費が免除され、月額30万円程度の滞在費も提供されます。

卒業後の進学先や就職先

IDEASの強みの一つは、研修生の進学先や就職先を具体的に公表することです。他のプログラムよりも透明性があり、信頼されるデータとなっています。海外の大学院への進学先としては、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス（LSE）やコーネル大学などが名を連ねており、トップ10に入る進学先は以下のようになっています:
1. LSE: 23名
2. ロンドン大学SOAS: 21名
3. コーネル大学: 16名
4. デューク大学: 13名
5. ケンブリッジ大学: 10名
6. マンチェスター大学: 9名
7. スタンフォード大学: 8名
8. サセックス大学: 7名
9. ハーバード大学: 6名
10. イーストアングリア大学: 4名

また、卒業生の就職先としては、JICAやJBIC、アジア経済研究所などが挙げられています。IDEASの卒業生は、経済協力の分野でしっかりとしたキャリアを築いています。

他の大学院との比較

IDEASに類似する組織としては、神戸大学や筑波大学、広島大学などの国際協力研究科が挙げられます。総務省の評価委員会からは、これらの大学院との重複について指摘がされているものの、IDEASは入学生の質や卒業後の進路において高い評価を受けているとも言われています。一方で、アジ研内部では教育業務が研究に対する負担となっているとの意見もあり、様々な見方が存在します。

関連項目

• - アジア経済研究所
• - アジア経済研究所図書館

多様なバックグラウンドを持つ学生が集まるIDEASは、途上国の開発問題に取り組むための貴重な人材を育成しています。

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