アジア開発銀行研究所

アジア開発銀行研究所（ADBI）について

アジア開発銀行研究所（Asian Development Bank Institute、略称ADBI）は、アジア開発銀行の付属機関として1997年に設立されました。主な役割は、アジア太平洋地域の開発に関わる戦略の策定と、それに伴う各加盟国の支援を行うことです。この研究所は、日本政府が提案した設立によって生まれ、設立時には日本国による運営資金の拠出がなされました。現在、所在地は千代田区霞が関の霞が関ビルにあります。

沿革

ADBIの設立は、1996年に開催されたアジア開発銀行の第29回年次総会における提案がきっかけです。この提案では、加盟国の開発能力を高めるために、研究所が必要とされるとの認識が示されました。提案は正式に承認され、1997年に正式に運営が開始されました。初代所長にはフィリピンの経済学者であるヘスス・エスタニスラオ氏が就任しました。

運営体制

アジア開発銀行研究所はアジア開発銀行の一部門であり、各種プログラムや予算はアジア開発銀行の総務会によって承認されます。日本からの累計拠出額は、2014年12月31日までに約240億円に達しています。

ADBIでは、以下の三つの事業を重点的に実施しています:
1. 研究事業: 開発問題に関して戦略的かつ重要な研究を行い、ノーベル賞を受賞した専門家による講演や刊行物の発行を通じて、地域の政策立案能力を強化しています。
2. 人材育成・研修事業: 開発途上国の政府職員を対象に、政策策定のスキルを高めるための研修を提供し、効率的な政策実施を支援します。
3. アウトリーチと知識管理事業: 研究や研修の成果を広く配信し、成果物を各種メディアやウェブサイトを通じて発信しています。特にADBIのウェブサイトには、300本以上のワーキングペーパーや関連イベントの情報が掲載されています。

役割と影響

ADBIは、アジア太平洋地域において開発に関する知識と情報の中心的な拠点として機能しています。各国政府や研究機関、専門家と連携し、地域・国際的な開発課題に取り組むことで、政策の質向上に寄与しています。

現在の所長は、インドネシアの財務大臣を務めた経験を持つバンバン・ブロジョネグロ氏です。彼のリーダーシップの下、ADBIはさらなる成長と発展を目指し、アジア太平洋地域の発展に寄与し続けることが期待されます。

まとめ

アジア開発銀行研究所は、アジア太平洋地域の開発と研究において、重要な役割を果たしています。研究、研修、アウトリーチへの取り組みを通じて、地域の発展に向けた課題解決に貢献することを目指しています。

もう一度検索