アジュダ宮殿

アジュダ宮殿は、ポルトガル・リスボンにあるネオクラシカル様式の宮殿で、19世紀にブラガンサ王家の王宮として建てられました。その歴史は、1755年のリスボン地震でリベイラ宮殿が崩壊したことに端を発します。

地震後、ジョゼ1世は、崩落の恐怖から石造りの宮殿を再建することを避け、アジュダに木造の「王室兵舎」（テント宮殿）を建設しました。ジョゼ1世は生涯をこの木造建築で過ごしましたが、1794年に火事で全焼してしまいます。

その後、マリア1世の治世下で、建築家マヌエル・カエターノ・デ・スーザによってバロック・ロココ様式の新しい宮殿として再建されました。この時、バロック様式の窓が宮殿の塔の低層部分に取り付けられました。

1802年、ポルトガル人建築家ジョゼ・ダ・コスタ・エ・シルヴァとイタリア人建築家フランシスコ・クサヴィエル・ファブリによって、ネオクラシカル様式の壮麗な建物の計画が策定されました。しかし、1807年にブラガンサ王家がフランス軍の侵攻を避けてブラジルへ亡命したため、建設計画は遅延し、最終的にアントニオ・フランシスコ・ロサに引き継がれました。また、財政難により、建設計画は縮小されました。

1861年以降、宮殿はルイス1世と王妃マリア・ピアら王家の恒久的な王宮となりました。お抱え建築家ポッシドニーオ・ダ・シルヴァによってファサードが変更されるなど、多くの美術的変化が加えられました。ルイス1世の死後、王妃マリア・ピアは1910年の軍事クーデターで王政が廃止されるまで、この宮殿に住み続けました。

現在、アジュダ宮殿は博物館として公開されており、リスボンにおける初期のネオクラシカル様式建築の代表例として知られています。宮殿は中庭で四角形に区切られており、西翼は未完のままですが、東翼には2つの塔を持つメイン・ファサードがあります。ファサード中央部は、ポルトガルの紋章を掲げたティンパヌム（破風の三角壁）で飾られ、ジョアキン・マシャード・デ・カストロ作の力天使像と19世紀初頭に作られた12使徒像のあるエントランス・ホールがあります。内部は19世紀のポルトガル人芸術家による重要な作品で彩られています。

アジュダ宮殿は、その歴史的背景、建築様式、そして内部の装飾を通して、ポルトガル王室の栄華を今に伝える貴重な文化遺産となっています。

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