アストンマーティン・レーシング

アストンマーティン・レーシング：輝かしい歴史と挑戦の軌跡

アストンマーティン・レーシングは、2004年、名門自動車メーカーであるアストンマーティンと、エンジニアリンググループのプロドライブが手を組んで設立されたイギリスのレーシングチームです。スポーツカーレースへの復帰を目指し、アストンマーティンDB9をベースにしたレーシングカーDBR9で2005年にデビューしました。

当初はDBR9によるレース参戦が中心でしたが、その後はカスタマーチームへのレーシングカー供給や、ル・マン・プロトタイプ用のV型12気筒エンジンの開発にも着手するなど、活動を多角化させていきます。すべての車両はプロドライブの工場で製造されますが、アストンマーティンは設計面で重要な役割を担い、レースで培われた技術はロードカーの開発にもフィードバックされています。

2020年には、F1への参戦に集中するため、FIA世界耐久選手権(WEC)のヴァンテージGTEクラスでのワークス参戦を終了。以降は、カスタマーチームへのサポートに注力しています。

マシン：GTレースでの活躍とLMP1への挑戦

アストンマーティン・レーシングは、主にGTカーを開発・運用してきました。初期は最高峰クラスであるGT1クラスにDBR9で参戦し、多くのプライベーターにもマシンを供給。WECのLM-GTEクラス(旧GT2クラス)には、2012年からヴァンテージGTEで参戦し、GT3、GT4クラスでもヴァンテージシリーズが活躍しました。GT3クラスでは、ヴァンテージGT3導入以前はDBR9が参戦していました。2017年には新型ヴァンテージとそのレーシングバージョンであるヴァンテージGTEが発表され、チームの戦力強化に貢献しました。

また、ル・マン・プロトタイプ（LMP）クラスへの挑戦も忘れてはなりません。プロドライブと共同で開発したローラ-アストンマーティン・B09/60|ローラ-アストンマーティン・B09_60やAMR-OneといったマシンでLMP1クラスに参戦し、その高いポテンシャルを示しました。

レース戦績：数々の栄光と苦闘

アストンマーティン・レーシングは、2005年のセブリング12時間レースでデビューウィンを飾ると、その勢いのままRACツーリストトロフィーでも優勝。2006年にはアメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)に参戦し、5勝を挙げ、GT1クラスで2位を獲得しました。惜しくもチャンピオンシップはコルベット・レーシングに僅差で敗れましたが、その実力は十分に示しました。

2007年、念願のル・マン24時間レースLMGT1クラス優勝を達成。1959年以来の快挙となりました。続く2008年もLMGT1クラス連覇を達成。さらに、この年からチャロウズ・レーシングシステムと提携し、ル・マン・プロトタイプ1（LMP1）クラスにも参戦を開始。ル・マンでは総合9位、ル・マン・シリーズではクラス5位という結果を残しています。

2009年には、DBR1による総合優勝から50周年を記念し、3台のローラ-アストンマーティン・B09/60|ローラ-アストンマーティン・B09_60でLMP1クラスにワークス参戦。ガソリンエンジン車では最高位となる4位を獲得するなど、大きな成果を収めました。また、ル・マン・シリーズでは総合優勝や表彰台独占を達成し、ドライバーズタイトルとチームタイトルを獲得するなど、その年の活躍は目覚ましいものがありました。アジアン・ル・マン・シリーズにも参戦し、レース2で優勝しています。

2010年のル・マン24時間レースでは総合6位を獲得。2011年には新型AMR-Oneにマシンを更新しましたが、開発途上の問題により、ル・マンではリタイヤという結果に終わりました。その後は、旧型のB09/60でレースを続けました。

2012年からは、ヴァンテージGTEでGTレースに復帰。ル・マン24時間レースやFIA世界耐久選手権(WEC)で活躍し、LMGTE-Proクラスで2位を獲得するなど、GTレースでも高い競争力を示しました。

2013年はアストンマーティン創立100周年を記念し、ル・マン24時間レースに複数台体制で参戦。WECではGTE-Amクラスでドライバーズタイトルを獲得しました。以降も、LMGTE AmクラスやLMGTE Proクラスで、ドライバーズタイトルやチームタイトル、ル・マン24時間レースでのクラス優勝などを獲得し、高い競争力を維持し続けてきました。特に2019-20年シーズンには、LMGTE Proクラスでドライバーズとマニュファクチャラーのダブルタイトルを獲得し、ル・マン24時間レースでもクラス優勝と3位という好成績を残しています。

ル・マン24時間レース：伝統の舞台での戦い

アストンマーティン・レーシングにとって、ル・マン24時間レースは特別な舞台です。数々の挑戦と勝利の歴史が刻まれており、その栄光と苦闘は、チームの進化の証となっています。

アストンマーティン・レーシングの歴史は、挑戦と勝利、そして技術革新の物語です。これからも、その挑戦は続いていくでしょう。

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