アスプロモンテ

アスプロモンテ (Aspromonte)

アスプロモンテは、イタリアの南部に位置するカラブリア州にある壮大な山塊で、イオニア海とティレニア海に囲まれています。その美しい地形は、北側にはペトラーチェ川やプラティ、カレーリといった急流河川が流れ、その影響を受けています。

地勢

アスプロモンテの最高峰はモンタルト山で、高さは1,956メートルです。この山は主に太古の岩石で構成されており、片麻岩や雲母片岩から成り立っています。山の脚は急峻に海に向かって崩れ落ちており、このため海岸地域は非常に狭くなっています。アスプロモンテの地形の特徴の一つは、pianiやcampiと呼ばれる四つの段丘が重なり合い、多様な生態系を形成していることです。

海岸地域では柑橘類、ブドウ、オリーブなどの農業が盛んなほか、1,000メートル以下ではオークとトキワガシの森林が広がります。さらなる高地に行くと、カラマツやネブローディのモミ、ブナが主に生育し、標高1,311メートル地点にはスキーリゾートのガンバーリエも存在し、特にカラブリアやシチリアからの観光客に訪れられています。

アスプロモンテの心臓部には、アクセスが難しい谷の奥に、信仰の対象となるポルシのマドンナの聖域があります。この場所は夏になると多くの信者たちが訪れる崇拝地となり、その美しい景観と静寂な雰囲気を求めて、多くの人々が訪れています。

2021年には、山々、高原、谷、滝が数多く存在する地域として、ユネスコ世界ジオパークに認定されました。これは、アスプロモンテが持つ自然環境の重要性を示すもので、多くの生物多様性と素晴らしい風景を提供しています。

歴史

アスプロモンテはその美しい自然だけでなく、歴史的にも重要な場所です。1862年には、ガリバルディが3,000人の義勇兵を率いてローマを目指しましたが、イタリア政府はこの動きを抑制しようとする動きがありました。この時の衝突はガンバーリエ近くで発生し、ガリバルディは重傷を負い、投獄される事態となります。この事件は「アスプロモンテの変」として知られており、後に彼の英雄的な行動として語り継がれています。

傷を負ったガリバルディを記念して、サンテウフェーミア・ダスプロモンテには彼の胸像が設置されています。また、彼が負傷した場所には、彼にまつわる伝説が伝わる木を示す記念板もあります。このように、アスプロモンテはただの自然景観ではなく、歴史が息づく場所でもあります。

ローマのヴィットリアーノ博物館には、ガリバルディが戦った際の遺品が展示されており、彼の勝利と苦闘の歴史が感じられます。アスプロモンテはその自然美と併せて、イタリアの歴史の一端を担う重要な地域なのです。

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