アズマギク

アズマギク（東菊、学名：Erigeron thunbergii）は、キク科ムカシヨモギ属に分類される多年草です。日本固有の植物で、本州の中部地方以北の山地の草原に自生しています。春になると、高さ20〜30cmほどの茎を伸ばし、先端に可憐な花を咲かせます。アズマギクは群生することが多く、草原一面を覆うように咲き誇る様子は、春の山野を彩る風物詩となっています。

特徴

草丈: 20〜30cm程度
葉: 根元から出る葉はへら形、茎につく葉は細長く、互い違いに生えます。
花: 花期は4〜6月で、茎の先端に直径2cmほどの頭花をつけます。頭花は中心部の黄色い筒状花と、周辺部の白色または淡紫色の舌状花から構成されています。花の色は、個体差や生育環境によって若干の違いが見られます。
その他: 全体的に短い毛が生えており、触ると少しざらついた感触があります。

亜種と変種

アズマギクには、高山型を中心にいくつかの亜種や変種が知られています。

ミヤマアズマギク（深山東菊、学名：Erigeron thunbergii subsp. glabratus）：アズマギクの亜種で、より高山に生育します。アズマギクに比べて、葉がやや肉厚で、花も少し大きくなる傾向があります。
ジョウシュウアズマギク（上州東菊、学名：Erigeron thunbergii subsp. glabratus var. heterotrichus）：ミヤマアズマギクの変種で、群馬県を中心に分布します。茎や葉の毛が特に多いのが特徴です。
アポイアズマギク（アポイ東菊、学名：Erigeron thunbergii var. angustifolius）：北海道のアポイ岳に特産する変種で、葉が細長いのが特徴です。

園芸品種について

アズマギクと同名で園芸品種として流通しているものがありますが、これはキク科ミヤマヨメナ属のミヤコワスレ（学名：Gymnaster savatieri*）のことです。アズマギクとミヤコワスレは、植物の種類としては全く異なるため、注意が必要です。

関連植物

アズマギクと同じキク科の植物には、ハルジオン、ヒメジョオンなどがあり、よく似た花を咲かせます。また、ムツアズマギクは、アズマギクとは別種ですが、同じムカシヨモギ属に分類されます。

その他

アズマギクは、古くから人々に親しまれてきた植物です。山野草として、庭園や鉢植えで栽培されることもあります。可憐な花姿は、多くの人々を魅了し、春の訪れを告げる花として、愛されています。

もう一度検索