アゾフ・コサック軍

アゾフ・コサック軍は、1832年5月27日にロシア皇帝の号令によってウクライナ・コサックから編制された、ロシア帝国の国境防衛を担う軍隊です。

成立の背景

1828年から1829年のロシア・トルコ戦争中、ヨスィプ・フラドクィーイに率いられた1500人のウクライナ・コサック（ドナウ・コサック）が、オスマン帝国側からロシア帝国側へ寝返りました。彼らはドナウ・コサック連隊としてロシア帝国軍に編制され、その後のアゾフ・コサック軍成立へと繋がります。

1831年、ドナウ・コサック連隊は南ウクライナ、アゾフ海に面するカテルィノスラウ県に移され、アゾフ海の西海岸の防備を担いました。そして、1832年5月27日、ドナウ・コサック連隊はアゾフ・コサック軍へと改名されました。

アゾフ・コサック軍の特権と組織

アゾフ・コサック軍に所属するコサックは、軍役と引き換えに税金や労役が免除され、内政自治制が公認されました。コサックはヨスィプ・フラドクィーイを軍のオタマーン（長）として選び、軍の行政の中心をペトロヴシカ町、後にマリウポリ市に置きました。

アゾフ・コサック軍の解散とその後

しかし、アゾフ・コサック軍の歴史は長くは続きませんでした。1862年から1864年にかけて、ロシア政府はコサックの一部を強制的にクバニ地方へ移住させ、北カフカースの国境防衛を任せようとしました。故郷を離れたくなかったコサックは蜂起を起こしましたが、この反乱はすぐに鎮圧されました。

そして、1864年10月11日、皇帝の号令によりアゾフ・コサック軍は廃止されました。残されたコサックは農民として生活することになり、軍の武器、軍旗、印鑑などはクバニ・コサック軍に引き渡されました。

アゾフ・コサック軍は短期間ながらも、ロシア帝国の国境防衛に重要な役割を果たしました。しかし、その解散はコサックたちの生活に大きな影響を与え、彼らの歴史に深い影を落としました。

参考文献

（ウクライナ語）　Маленко Л. Азовське козацьке військо (1828—1866). Запоріжжя, 2000.

外部リンク

（ウクライナ語）　Довідник з історії України. За ред. І. Підкови та Р. Шуста. — Київ: Генеза, 1993.

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