アタマアブ

アタマアブ（頭虻）は、ハエ目（双翅目）に属するアタマアブ科 (Pipunculidae) の昆虫の総称です。世界中で約1300種が記録されており、未発見の種を含めると約2000種が生息していると考えられています。

分布

アタマアブは世界各地に広く分布しており、日本国内でも108種が確認されています。

形態

アタマアブの最大の特徴は、半球状で頭部の大部分を占める大きな複眼です。単眼の大きさは亜科によって異なり、Chalarinae 亜科では小さいものの、Nephrocerinae、Pipunculinae の2つの亜科では大きく発達しています。多くの種において胸部は黒色をしていますが、褐色や灰色の種も存在します。腹部は一般的にやや円筒形で、灰色または光沢のある黒色をしていますが、一部の種では黄色をしています。

生態

アタマアブの成虫は、草地や樹木の周辺などで観察されます。しかし、通常は単独で行動し、特定の生息地に定住することはありません。興味深いことに、アタマアブの中には、イネの重要な農業害虫であるツマグロヨコバイなどのヨコバイやウンカ類に寄生する種が知られています。日本では、主に農業利用の観点からアタマアブの研究が進められてきました。これは、アタマアブが害虫の個体数を自然に抑制する可能性を持つためです。

下位分類

アタマアブ科は、ハナアブ科と近縁であり、両科でハナアブ上科を構成します。アタマアブ科は、以下の3つの亜科に分類されます。

Chalarinae (4属72種)
Nephrocerinae (3属19種)
* Pipunculinae (15属1268種)

これらの亜科は、それぞれ異なる特徴を持っており、分類学的研究の対象となっています。

アタマアブは、その独特な形態と生態から、生物学的な興味だけでなく、農業分野においても重要な役割を担っている昆虫と言えるでしょう。

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