アチ・ベルトンチェリ

アチ・ベルトンチェリ（Aci Bertoncelj）は、1939年8月27日に旧ユーゴスラビアのリュブリャナで生を受けた著名なピアノ奏者です。

初期の音楽教育は生地リュブリャナの音楽院で受け、ヒルダ・ホラーク氏の指導のもと研鑽を積みました。1960年に同音楽院を卒業した後、さらに高度なピアニズムを追求するため、ヨーロッパ各地へと渡り、名教師たちの薫陶を受けました。ザルツブルクではカルロ・ゼッキ氏やハンス・ライグラフ氏に、パリではピエール・サンカン氏に、そしてローマではグイド・アゴスティ氏といった高名な指導者たちから教えを受け、その表現力と技術に磨きをかけました。

1960年代に入ると、ベルトンチェリ氏は演奏家としての活動を本格化させます。特に室内楽の分野では、ヴァイオリニストのデヤン・ブラヴニチャル氏、チェリストのチリル・シュケルヤンツ氏と共にタルティーニ三重奏団を結成し、活発な演奏活動を展開しました。この三重奏団における活動は、彼の音楽家としての重要な側面の一つとなりました。

また、室内楽と並行して、オーケストラの専属ピアニストとしても長年にわたり活躍しました。1966年から1981年までの15年間、スロヴェニア放送交響楽団の専属ピアニストを務め、オーケストラにおけるピアノパートの演奏や、協奏曲のソリストとしての役割など、幅広い活動を行いました。この長期間にわたるオーケストラでの経験は、彼の音楽性に深みを与えたことでしょう。

演奏活動で培った豊かな経験と知識は、後進の指導にも活かされました。1979年からは、母校であるリュブリャナ音楽院の教壇に立ち、多くの若い音楽家たちの育成に貢献しました。教育者としても精力的に活動し、スロヴェニアの音楽界の発展に寄与しました。

アチ・ベルトンチェリ氏は、ピアニスト、室内楽奏者、オーケストラピアニスト、そして教育者として、多岐にわたる活動を通じてその生涯を音楽に捧げました。2002年9月23日、スロヴェニアのドムジャレにてその生涯を終えました。

もう一度検索