アット・ザ・ドライヴイン

アット・ザ・ドライヴイン（At The Drive-In、略称ATDI）は、アメリカ合衆国テキサス州エルパソ出身のポスト・ハードコアバンドです。その音楽は、激しいエネルギーと複雑な構成、そして叙情的なメロディが融合した独特の世界観を持ち、多くのファンを魅了してきました。

バンドの結成と初期の活動

1994年、メキシコとの国境沿いに位置するエルパソで、ジム・ワード、セドリック・ビクスラー＝ザヴァラ、ジャレット・ワッカーマン、ケニー・ルーベンスタイン、バーニー・リンコンによって結成されました。初期は自主レーベルのウェスタン・ブリード・レコーズからEPをリリースし、地元の音楽シーンで徐々にその名を広めていきました。1996年にはオマー・ロドリゲス・ロペスが加入し、バンドの音楽性はさらに多様化していきます。

メジャーデビューとブレイク

1997年にフリップサイド・レコーズから1stアルバム『アクロバティック・テナメント』をリリース。その後、フィアレス・レコーズから2ndアルバム『イン・カジノ・アウト』をリリースし、その評価を高めます。そして2000年、大手レーベルのグランド・ロイヤルと契約し、メジャーデビューを果たします。先行シングル「ワン・アームド・シザー」は、その革新的なサウンドとミュージックビデオで大きな話題を呼び、バンドの人気は急上昇しました。

同年9月には、メジャーデビューアルバム『リレーションシップ・オブ・コマンド』をリリース。リンプ・ビズキットやスリップノットなどを手掛けたプロデューサー、ロス・ロビンソンがサポートし、イギー・ポップがゲスト参加したことも話題となりました。アルバムは高い評価を受け、ATDIは一躍トップバンドの仲間入りを果たします。

突然の解散とその後

しかし、人気絶頂の中、2001年3月に「メンバー間の音楽性の違い」を理由に突然の無期限活動休止を発表し、事実上解散してしまいます。その後、ジム、ポール・ヒノホス、トニー・ハジャーはスパルタを結成し、セドリックとオマーは以前から活動していたデファクトを解散させ、マーズ・ヴォルタを結成しました。2003年にはポールがスパルタを脱退し、マーズ・ヴォルタに加入しています。

再結成と再びの活動休止

2011年、ATDIは再結成を発表し、ライブ活動を再開します。2012年にはフジロックフェスティバルに出演し、日本のファンを熱狂させました。2016年にはニューアルバムのリリースとワールドツアーを発表しますが、ジムが脱退し、後任としてスパルタからキーリー・デイビスが加入します。同年8月にはサマーソニックに出演しました。

2017年5月、17年ぶりとなるニューアルバム『インターアリア』をリリース。しかし、2018年11月にはバンドの公式インスタグラムで再び活動休止が発表され、ファンを失望させました。

メンバー

セドリック・ビクスラー＝ザヴァラ (ボーカル/マラカス/鍵盤ハーモニカ)
オマー・ロドリゲス・ロペス (ギター/コーラス/ベース)
ポール・ヒノホス (ベース)
トニー・ハジャー (ドラムス)
キーリー・デイビス (ギター/コーラス)

元メンバー

ジム・ワード (ギター/コーラス/キーボード/ボーカル)

ディスコグラフィー

アクロバティック・テナメント (1997年)
イン・カジノ・アウト (1998年)
リレーションシップ・オブ・コマンド (2000年)
インターアリア (2017年)

空耳アワーでのグランプリ受賞

2001年11月16日放送のテレビ番組『タモリ倶楽部』の空耳アワーで、ATDIの楽曲「スリープウォーク・カプセル」の空耳が紹介され、その年のグランプリを獲得しました。この空耳は、「ど・ど・ど・ど・童貞ちゃうわ!」というもので、大きな話題となりました。

ATDIは、その短い活動期間の中で、音楽シーンに大きな影響を与えたバンドです。その音楽は、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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