アップライトピアノ

アップライトピアノ：歴史、構造、種類、そしてグランド[[ピアノ]]との比較

アップライトピアノは、その名の通り、弦と響板を垂直に配置したピアノの一種です。グランド[[ピアノ]]と多くの共通点を持つ一方、構造上の違いから、音質や演奏性ではグランド[[ピアノ]]に劣るとされる面もあります。しかし、省スペース性から家庭用ピアノとして広く普及し、学校や小規模な演奏会場などでも利用されています。本記事では、アップライトピアノの歴史、構造、種類、そしてグランド[[ピアノ]]との比較について詳細に解説します。

歴史

垂直に弦を配置する構造の原型は、16世紀のクラヴィツィテリウムやガイゲンベルクに見られます。近代的なアップライトピアノは、19世紀初頭にイギリスのロバート・ワーナムによる「コテージピアノ」を起源とし、その後「ピッコロピアノ」へと発展しました。ほぼ同時期、オーストリアのイグナツ・プライエルもアップライトピアノの原型となる楽器を考案しています。グランド[[ピアノ]]やスクエアピアノに比べて設置面積が小さいため、家庭用ピアノとしてこれらの楽器に取って代わるようになりました。ヨーロッパでは1850年頃、アメリカでは1900年頃にはスクエアピアノに取って代わったとされています。

技術

アップライトピアノの構造では、響板、鋳鉄フレーム、弦、ハンマー機構が垂直に配置されています。そのため、壁際に設置でき、省スペースを実現できます。古いアップライトピアノには、ハンマーより上にダンパーが位置する「アッパーダンパー機構」が用いられていましたが、現代のピアノでは、ハンマーの下にダンパーが位置する「アンダーダンパー機構」が主流です。一般的にアップライトピアノの音域は7 1/4オクターブですが、小型の「ヨットピアノ」と呼ばれる機種は6 1/2オクターブの音域しか持たないものもあります。

大きさと重さ

アップライトピアノの大きさと重さは、機種によって大きく異なります。幅は140～155cm、奥行きは50～60cm、高さは小型で110cm、コンサートタイプで約130cmになります。高さは響板面積や低音弦の長さに影響し、音質に直結します。重さは175～300kgと、機種によって重量も変動します。また、高さによってスタジオピアノ、コンソールピアノ、スピネットピアノなど、様々な種類があります。

アップライトアクションの種類

アップライトピアノのアクション（鍵盤操作機構）には、様々な種類があります。現在主流となっているのは「イングランド式ダンパー機構」で、ハンマーの動作とダンパーの開閉を複雑な連動機構で実現しています。一方、「アッパーダンパー機構（ウィーン式）」は歴史的な機構で、現代ではほとんど使われていません。これらの機構は、鍵盤を押すことでハンマーが弦を叩き、音を出し、その後ダンパーが弦に触れて音を止めます。機構の設計によって音質や演奏感、メンテナンス性にも違いが出ます。

グランド[[ピアノ]]との比較

アップライトピアノとグランド[[ピアノ]]の最も大きな違いは、ハンマーの動作にあります。グランド[[ピアノ]]では、重力とハンマー自体の反動を利用してハンマーが弦に当たりますが、アップライトピアノではバネを利用する必要があるため、反応速度や連打性能が劣る傾向があります。また、グランド[[ピアノ]]に一般的な「レペティションレバー」という機構も、多くのアップライトピアノには備わっておらず、連続した同音打弦（連打）が困難です。

連打性能向上技術

アップライトピアノの連打性能を向上させるため、各メーカーは様々な工夫を凝らしています。例えば、磁石を利用した機構や、バネの改良、ハンマーやジャックの形状変更などが行われています。これらの技術は、連打性能の向上に寄与する一方、製造コストの上昇や、ピアニッシモのコントロールの難しさといった課題も抱えています。

ペダル

アップライトピアノには、通常2本または3本のペダルが装備されています。右端のペダルはダンパーペダル、左端はソフトペダルで、中央のペダルはマフラーペダルと呼ばれ、音量を弱めるために使用されます。マフラーペダルは、弦とハンマーの間にフェルトを挟み込むことで音を弱めます。

まとめ

アップライトピアノは、グランド[[ピアノ]]と比較して音質や演奏性では劣る部分もありますが、省スペース性やコストパフォーマンスの高さから、家庭用ピアノとして広く普及しています。様々な技術革新によって連打性能なども向上していますが、グランド[[ピアノ]]とは異なる特性を持つ楽器であることを理解することが重要です。この解説が、アップライトピアノへの理解を深める一助となれば幸いです。

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