アトラス (ミサイル)

CGM/HGM-16 アトラス (Atlas)

CGM/HGM-16アトラスは、1950年代後半にアメリカ空軍によって開発された大陸間弾道ミサイル（ICBM）です。このミサイルは、ジェネラル・ダイナミクス社のコンベア部門によって製造され、アメリカ合衆国初の成功したICBMでもあります。アトラスは、1959年から1968年にかけて実戦配備され、その名はギリシア神話の巨人アトラスに由来しています。

アトラスはアメリカ国内での核戦力の中心的な役割を果たし、冷戦初期にはタイタンI、ソー（イギリス）、ジュピター（イタリアとトルコ）とともに配備されました。そして、1964年から退役が始まり、1968年には正式に軍の手から外れました。

アトラス・ミサイルはその後、アメリカ航空宇宙局（NASA）による衛星打ち上げロケットシリーズ、アトラスロケットとしても利用されました。特に、アトラス LV-3Bは1959年から始まったマーキュリー計画において、4機の有人宇宙船を宇宙に送り込むことに成功しています。さらに、アトラスは使い捨て型の衛星打ち上げロケットとしても進化し、第2段にアジェナロケットやセントールロケットを搭載する形態が一般的でした。現在では、ユナイテッド・ローンチ・アライアンスがアトラスロケットを生産しており、1980年代には衛星打ち上げ専用の改良型アトラスIIが開発されています。現在の最新型アトラスVも、軍と民間の人工衛星打ち上げに使われている信頼性の高いロケットです。

アトラスロケットのエンジンは、RP-1（ケロシン）を燃料、液体酸素を酸化剤として使用しており、飛行制御には2基のバーニアエンジンが使われています。アトラスは独特な1.5段式の構造を持っており、主エンジンとは別に切り離し式ブースターエンジンが組み合わされています。このブースターは個別の燃料タンクを持たず、主エンジンと共用で140秒間稼働した後に切り離されます。燃料タンクは軽量化のために非常に薄いステンレスで作られており、その自重を支えるためにバルーンタンク方式が採用されています。

ICBMの初期モデルであるアトラスや旧ソ連のR-7、タイタンIなどは液体酸素を用いた液体燃料ロケットでありましたが、液体酸素は非常に蒸発しやすいため、発射準備には多くの時間が必要でした。実際に発射されるまでの作業には数時間かかり、その結果、LOXを酸化剤とするICBMは短期間で退役し、常温で保存可能な液体燃料や固体燃料を使用する第二世代のミサイルに取って代わられました。

アトラスの生産は約350基に達し、キューバ危機の際には発射準備が整えられたとされています。

開発の経緯

アトラスは1957年にアメリカ合衆国で初めて成功を収めた大陸間弾道ミサイルとしての位置を確立しました。特徴的には1.5段式の液体燃料ロケットで、ジンバル付きの推力1,200 hp装置と3基の推力1,590 kNのエンジンが備わっています。アトラスの開発は1946年から始まり、当初はドイツのV2ロケットを基にした技術を通じて進められました。1951年1月、アメリカ空軍とコンベア社は大陸間弾道ミサイルの開発を正式に開始しました。

アトラスの設計は、当初のMX-774計画を基にしていましたが、さまざまな修正や改良が加えられ、最終的にはXSM-65Aとして初の試験機が完成しました。試験機の開発は続き、アトラスB、アトラスC、そして最終的には量産型D型、E型、F型へと進化していきました。1959年末に初の量産型Dが完成し、その後も誘導技術やエンジンの改良が施された機体が次々と配備されました。

最終的には、タイタンIIやミニットマンIなどの後継ミサイルが登場するに伴い、アトラスはその役割を終えることとなります。

もう一度検索